海辺の風景

海野さだゆきブログ

2016-01-01から1年間の記事一覧

『限界集落株式会社』『脱限界集落株式会社』黒野伸一 著

若者、よそ者、馬鹿者。この3つの「人種」が地方の停滞を回天させることができる、そうです。そうですね、まったくそのとおりですね。ことは「地方」に限らないでしょうし、ことは日本に限ったことでもないでしょう。 一見地方過疎化問題に特化した話に見え…

『クソゲーオンライン(仮)2』つちせ八十八 著 にろ 東雲太郎 イラスト

あれ、2巻が出たのですね。サブタイトルがあからさまなのですけど、大丈夫でしょうか。 さて、ラノベの定番「異世界もの」の変形としての「仮想空間もの」ですね。この「所変れば品変る」を青少年少女に説くパターンですけど、三年寝太郎ですよね、つまり伝…

東海道 箱根から三島、沼津へ

気が付けば前回は8月。どんどん時間は過ぎて行きます。 東海道箱根から西側への下りはとても気持のよい道です。石畳は東側ほど荒れておらず、往時の面影はこっちのほうがずっと残っています。そして遠くに海が光る眺望は胸がすく絶景です。 どうしてこっち…

グレッグ レイク 逝く

なんてこと。グレッグレイク逝去のニュースが。東海道から帰宅したばかり、僕はショック。なんてことでしょう。 あの攻撃的なベース。ベースという楽器を始めて、意識したのはジャックブルース先生とグレッグレイクでした。二人ともベースはめちゃくちゃうま…

「Steins gate」

遅れてきたゲーマーは、前々から気になっていたこの作品をやってみました。当時のアキバ風ものの言い方やガジェットたちが強い匂いを放っています。 話は僕には意外だったのですけど、幼なじみの女の子を如何に救うのか、という方向に行きました。あ、いわゆ…

『こぐこぐ自転車』伊藤礼 著

退官を前にふと自宅から職場の学校まで自転車に乗って通勤したらどうなるだろうか、という思いつきが伊藤さんの自転車生活の始まりでした。目覚めた伊藤さん、自転車の購入、ツーリングと世界を広げて行きます。 自転車に乗れば何かが変るわけではありません…

『地雷屋 JIRAIYA ~アフガニスタン編~ 1巻』竿尾悟 著

戦争が敵味方に別れてドンパチやる、なんて想像しかできない人はぜひこの作品を読んで頂きたいです。 戦争とはもうひとつの「国内政治」なのですね、 「戦後の混乱の中じゃ、すべてが金になる」 これは「戦争はすべてが金になる」と言い換えてもよいと思いま…

『セカンド ノベル』

遅れてきたゲーム老人なので、6年前に発売された、ということが関係ないのです。はい。このゲーム、すごいです。揺さぶられました。 脳に関係する「病気」「症状」をテーマにしたゲームなんて、それも、患者、この言葉嫌なんですけど使わないと伝わらないの…

『クソゲー・オンライン(仮) 「運営は全員逃げたけどなんの問題もないわ!」ちとせ八十八 著 にろ 東雲太郎 イラスト』

なんてタイトルだろうかと思いましたら『ざるそば』の作者さんだったのですね。運営が逃げ出し、宣伝したステージも未実装、おまけにユーザがリミットを切りそうで、サービス停止寸前の状態のオンラインゲーム。そこに参加していた主人公はゲームマスターに…

『【悲報】魔法少女のその後の日常。』横山了一 原作 上月まんまる 作画

いつの頃からなのかいわゆる魔法少女モノへの「つっこみ」作品が出てくるようになりました。リアルタイムで観ていた世代がおっさんやおばさんになって、その大人の経験値を経た目で好きだった作品を見直しての愛情表現なのでしょうね。 まあ、僕らの世代です…

『ブギ─ポップは笑わない』上遠野浩平 著 緒方剛志 イラスト

この作品も有名どころですよね。ホラーっていうべきなんでしょうか。不気味さとか、閉鎖的な空間で行われる息苦しさとか、なかなか読ませますよね。そして、異常心理へのアプローチが新しかったのでしょうか。 話は登場人物の視点で描かれ、その視点が移動す…

『球場ラヴァーズ』シリーズ 石田敦子 著

明日にも広島東洋カープは優勝です。その勢いというわけなのでしょうか、いつものブックリーダーのおすすめにこのシリーズが入っていまして、全部読んでみました。優勝前に読み終えました。 これは世にも珍しい「野球ファン」のマンガです。それも少女マンガ…

『涼宮ハルヒの憂鬱』谷川流 著 いとうのいぢ イラスト

ライトノベルを読み出してしばらくたちますけど、有名どころは読んでいませんでした。このシリーズは色々なことの初めとされていましたので、興味深く読みました。 読みはじめて、あれ?なんだか普通の学園モノの話運びに意外な感じがしました。確かにしっか…

『ストレンジガールは甘い手のひらの上で踊る』森田季節 著 文倉十 イラスト

まさかの「ベネズエラ ビター」「プリンセス ビター まいす マイスウィート」の続編って、本当にそうですね。 タマシイビト、イケニエビトの終りなき物語。ですけど、今回は、記憶をめぐるサスペンスとなっています。 最初は正直ちょっとダルイ感じがしまし…

『武蔵くんと村山さんは付き合ってみた。』第一巻 なるあすく

奥手同志が付き合い始める、もちろん、すべて初めてのことゆえ、すべてがぎこちない、そしてすべてが新鮮。 このお話の白眉はなんといっても最初なのではないでしょうか。武蔵くんにからかわれたと思った村山さんが「私と付き合えって言ったら、付き合えるわ…

『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか スピードは最強の武器である』中島 聡 著

あら、伝説の中島さん、本を出したのですね、と読みました。「Life is beautifull」はちょくちょく読ませて頂きました。こうした自己啓発本を出すような人とは思えなかったのですけど、と読みました。 なるほど、そうなんですよね、わかりました。 本は、ず…

『会社が消えた日 三洋電機10万人のそれから』大西 康之 著

山一證券の最後の処理を請け負った「しんがり」といい、なぜか会社の最後の本が気になる私です。最高意思決定の場に現実なるものはしばしば存在しない、特に負けているときには、ということでしょうか。 負けに不思議の負けはないそうです。そうですね、こう…

『ざるそば(かわいい)』つちせ八十八 著 憂姫はぐれ イラスト

ギャグ、特にナンセンスギャグは揺り動かないポリシーが必要です。正面切って設定された人物やらなにやらを簡単に置き換える程度では本歌取りにもなりません。元ネタを逆照射することで、元ネタが持っていたテーマ性を先鋭化するくらいの根性がなければ、単…

『きょうの日はさようなら』一穂ミチ 著

父親が突然つれてきた親戚の女の子。彼女は家族を失っているということ以外は謎が多い。同世代の娘、息子のふたりは、彼女のことを知ってゆくなか、想像もできなかった事情を知る。そしてやがて訪れる別れ。 これは一種のタイムトラベルものと言ってよいので…

ニパ子ちゃん万歳

ご存じゴッドハンドが作る精密ニッパーのキャラクタ。僕はあそこまでの切味は使いきれないので、「普通」を使っていました。 静岡の鈴木酒店さんがニパ子ちゃん酒を作ったと聞いて、注文してはや幾とせ、なんどニパ子ちゃん酒第二弾がでたというので、早速注…

『非常識のすすめ』里崎智也 著

千葉ロッテマリーンズの正捕手だった里崎さんの野球観を詰め込んだ本。バレンタインの子供たちである彼からも監督バレンタインの素晴らしさが見えてきます。 阪神ファンなので、僕はこういう言い方をしています。 野球ファンならば、ロッテかスワローズのフ…

『ローカル女子の遠ぼえ遠吠え』瀬戸口みづき 著

主人公は静岡出身。東京に就職したものの、うまくゆかず、地元に戻ってきました。 自分は「アリとキリギリス」のアリだと思っていました。でも都会に疲れ、夢も行き詰まり地元に戻ると、狭いぬるま湯から出ずに暮していた友人たちが、家庭をつくり巣を作って…

『今日のユイコさん』秀河憲伸 著

少年マンガの恋愛ものもまた、ねーよ帝国主義が席巻しています。このまんがはいわゆる「ツンデレもの」に分類されてしまうのでしょうが、それだけではありませんでした。そのツンデレの内側に入り込み、色彩豊かに描いた傑作。 つり目でかわいい、黒髪ロング…

『羊と鋼の森』宮下奈都 著

今年の本屋大賞受賞作品。今までいわゆる賞ものにはあまり感心がありませんでした。評価されるものはやはり何かを持っているはず、と心を改めて色々読み始めました。 今まで小説、まんがで納得できる音楽ものに出会えていませんでした。この作品で初めて心打…

『きんいろカルテット!』第1巻 遊歩新夢 著 DSスマイル イラスト

ライトノベルには天才しかいないのです。 いくつかライトノベルで、ですが、音楽ものを読んできました。どうも納得できる作品に出会えませんでした。実はこれはまんがでも同じでした。たまたまそういう巡り合わせなのかもしれないですけど、こうも出会えない…

「勝つために戦え 監督稼業めった斬り」押井守

新聞記事に、といっても事件のではなく、特集みたいな記事にこの本のことがありました。以前に読んだような記憶がなかったので、久しぶりに押井さんの理屈も聞いてみようかしら、と思いました。 まな板のうえに色々な映画監督がのせられています。その評価を…

「セッション」デイミアン・チャゼル監督

エライもの観ちゃったなあ、というのが最初の感想でした。これ、男同士のどつきあいの話です。一応音楽が題材になっていますけど、スポーツであっても俳句であってもよいって種類ですね、それがマイナーな分野であれば。 これ、ルサンチマン映画ですね。 挫…

ターミネーター サラコナーズ クロニクル

CATVの観放題コースのひとつをひまつぶしに探っていましたら、かなり前のことになりますけど、ちょっと観てみたいと思った作品がありました。シーズン2まであるのですね。CATVの都合で最初のシーズンは吹き替え版でした。これが予想外に面白くて、休みの度に…

偽札二題「鳩の撃退法」佐藤正午、「万能鑑定士Q」松岡圭祐

「鳩の撃退法」佐藤正午 過去に文学賞も受賞し、ヒット作もあった主人公は、いまやデリヘルの運転手。知り合いの古本屋が残したバッグを貰い受けるが、その中には三千万円を超える現金が入っていた。 失敗しました。僕はヤクザとか暴力とか満載の話は苦手な…

『金色機械』恒川光太郎 著

深山に住むという「金色様」。流転をする人々の運命にそこかしこ現れるその正体とは。 舞台は300年位前なので時代ものなのですけど、まちがいなくSFです。時代物のSFといえば半村良さんがまず思い浮かびます。この作品も設定や世界観を描くことよりも人々…