あれ、村井さだゆきさんが脚本書いているアニメ映画が公開かあ、絶対観に行こう。
え?映画ってテレビシリーズの完結編なの?
あわててテレビシリーズ11話観ました(笑)。
ちょっと前まで「ブレードランナー負債」という言葉が語られていたそうです。要するにかのリドリースコットの映画って、日本のSF映画(アニメも)関係者に衝撃だったらしいのです。
ですよねえ、、、、舞台は大阪っぽいし、ごちゃごちゃした汚い町並みといい、日本の作品から出てきそうな設定をうまく使って世界観を表現してましたよねえ、、、以来ゲームなんかで「近未来」っていうと、ああした汚いスラムみたいな街が必ずと言ってよいほど出てきますよね、、、、
ボトムズの方が先だったじゃん!それなら。と言いたいんですけど、やっぱりあちらの方が先、、、とほほ
押井さんの『攻殻機動隊』あたりでなんとか、「ブレードランナー負債」を返済したのかなあ、、、僕はそういう負債ってもともと感じてませんでしたけど、、、
で、なんとか負債という言い方があるならば、アニメには
『風の谷のナウシカ』負債っていうものがあると言えます。
「なーんかナウシカっぽいねえ」ってやつです。
さて、我らが『大雪海のカイナ』ですが、タイトルも「なになにのなになに」だし、テレビシリーズを観た人から、「なんだよ、ナウシカなんじゃん」という感想がもれたようです。
いやいや、もともと『ナウシカ』だって、色んな先行作品っぽいですよ。そういう「オリジナル信仰」は、
「聖書に書いてるじゃん」
みたいなしょうもないところに落ちてつまらないと思うのです。僕は『カイナ』の製作陣は堂々と『ナウシカ』をやることを選択したと思います。そしてそれは
『ナウシカ』への返答
なのだと思います。
ヒロインは普通に女の子だし、ヒーローもあんまり強くも賢くもないし、どちらかと言えば頼りないし、もたもたしてて観ていて「頼むよーーー」ってイライラさせられる「普通」の存在です。
争いのもとは「水」だし、、、
悪役も無知ゆえの「子供の王様」で、弱々しい、、、
地球環境の再生方法も、かなりシンプルなテラフォーミング。
ドラマチックなものを削ぎ落して、文明、文化から遠ざかってしまった人たちの群像劇をうまく織り上げていると思います。
それは観てますと「バルス」とか「ラピュタ」とか「なぎ払え」とか、僕の頭にも浮びましたよ(笑)でも、それは僕の脳みそが連想結果をアウトプットするだけで、インプットからのアウトプットではないのです。
この作品で『風の谷のナウシカ』負債は完済したと僕は感じました。
映像はとても緻密で見ごたえありました。ドラマチックさを回避した結果、ちょっとアクション映画としてはテンポが悪いけど、そこは目指していないし、テーマからすれば、正解なテンポ感だと思います。
はい、是非ご覧ください。テレビシリーズを頑張って観てからがお勧めですよ、もちろん。