海辺の風景

海野さだゆきブログ

『Power Rangers』ディーン イズラライト監督

Power Rangers』シリーズを教えてくれたのはまだ小学生だった息子でした。スーパー戦隊ものを石森先生(僕にとっては石森先生)信奉者な僕は息子に見せていたのでした。

 

CATVでシリーズを連続して配信していました。これがなかなか面白かったのです。アクションシーンは日本の映像、でもドラマ部分はアメリカのオリジナルというまさに「合体」作品でした。

 

放映当時からかの土地ではすざまじい人気となったそうです。あのシュワルネッガー先生主演のクリスマスに子供のプレゼントがない、という大騒ぎのコメディはアメリカでの実話だったとかで、本当にびっくり。そう、このパワーレンジャーのおもちゃが全米で品薄になってクリスマスシーズンにパニック状態になったとか。。。。

 

僕は『ロスト ギャラクシー』が一番気に入りました。この話、実は俳優の病気交代とその復活という「現実」とリンクした感動的な展開でもありますし、初めて日本人スタッフがメインに係わるというシリーズでもありました。

 

向うでの人気のすざまじさはDVDセットの値段のけた違いの安さにも出ています。だって、『ロストギャラクシー』セット、1500円くらいなんですよ。こりゃ、買うしかないでしょ。

 

さて、過日、会員証をもっている映画観の上映日程を調べていましたら、「パワーレンジャー」の文字が。。。。はて?と見てみましたら、なんと完全新作で映画が作られ、アメリカでは上映後絶賛されているとか。

 

燃ました!映画評も決して「こどもだまし」的なレベルではないようでしたし、なによりも、完全新作、それも始まりの物語をやるというのですから。

 

得点つき前売り券を購入し、公開の日を待ちました。

 

さて、近くの上映館で字幕はなんと8:35スタート。6時起きして、7時に自転車にまたがりスタート。45分かけて到着です。休日、しかも「ポケットモンスター」や「プリキュア」などがやはり同じ時間にスタートということで、早くも親子連れの行列ができていました。整理券まで出まして僕は11番目。

 

一番小さいスクリーンというのが哀しいですが、日本で上映してくれることがなにより有り難かったです。やはりスクリーンで観ないと。お客さんは年齢高め。もちろん僕はどうみても最年長。20代なかばという感じの男子2人組、お、女子2人組もいますね、40代くらいのひととか、、全部で15人位はいましたね。同志ですよ、もう、この時間にこの作品をこの車でしかいけないようなところに来ているなんてね。

 

さて、映画はまるでドキュメンタリーのようなトーンの映像で始まりました。とてもリアルな感触です。そうです、なんかこう社会派のドラマみたいな。。。。。って、「パワーレンジャー」はそういう側面が確かにありました。

 

子供向ということで、スクールカーストも、いじめや不登校などの問題もオブラートにくるまれていました。笑いというなかにうまく隠されていたともいえます。

 

それが今回はリアルに全面に出ています。5人の若者が抱えている問題は実にリアルです。そして、その問題は実は彼らがパワーレンジャーになっても現実には解決はしていません。

 

そして、彼らは当たり前にであったばかりでお互いを警戒もしていますし打ち解けてなどいません。個人的な問題に対してももやもやしている彼らはチームとしてなど機能せず、それらが原因で変身ができません。

 

親玉のゾードンはそんな彼らに失望を隠しません。はっきりとそれを言いますし、彼らを見捨てて自分で敵を倒そうとします。甘くない、、、、いえ、、、実際の僕らの判断と変らないです。

 

そうした状況下、彼らがぎりぎりのところで心を開きあい、仲間になってゆくところはしびれました。

 

140分の長尺ですけど、180分くらいやって欲しかったくらいでした。しかしまあ、いつも思うことですけど、向うの映画の役者のレベルの高さにはうならされます。若い彼らには微塵も甘さがありません。女性ふたりがミュージシャンというのも何かこう示唆的です。。。

 

大人になったパワーレンジャーファンが、「やっぱり俺たちが好きになったものは本物だったんだ」と胸を張っていえる、そんな作品になっていました。素晴らしい。

 

しかし、まあ石森先生はアメリカでも一体何人を「食わせて」きたのでしょうか。なんと素晴らしい「土台」を作ったのでしょうか。何度も自慢まんまんに言いますけど、子供の時、友だちと先生のお宅にノーアポで行って、ケーキと紅茶をごちそうになった僕は天国の先生に空をみあげて感謝して家路につきました。