まさかホリエモンの本を読むとは、なんて自分でも思いましたけど、なかなか面白かったです。
北海道でのロケット打ち上げ成功のニュースから、その大樹町でレストランを100日で立ち上げるというプロジェクトに堀江さんが関わっているのを知って、興味が湧きました。
そのプロジェクトは「北海道独立宣言」というテレビ番組で進行を知ることができます。その中で彼の言っていることは至極まともですし、決断の早さ、論理の明晰さも好感が持てました。
こういう人だったんだ。
プロ野球ファンですから、再編成問題での彼の行動は忘れもしません。プロ野球史上の重要人物のひとりです、間違いなく。
この本は「自己啓発本」なんでしょうが、彼の言いたいことは少し長い前書きにすべてあるように思いました。
「自己啓発」って、一種のポルノだと言う人がいます。その手の本を読んだり、講演を聞いたりすると、その時はその気になるけど、結局はやらない。。。。その繰り返し。誰かの成功談を浴びることで、なんか気分が高揚する事自体が目的化してしまっている。。。。
「結局はやらないんだよね」。
いやいや、自己啓発本でこのせりふは珍しいですね。私も「アドバイスを聞く人にはアドバイスは不要、アドバイスが必要な人はアドバイスを聞かない」というのを沢山経験しました。
「俺は俺を雇うような会社には勤めたくないんだ」って、イギリスのジョークだそうですけど、これに似ていますよね。
で、そういうことがわかっていながら、堀江さんは背中を押したい、おせっかいだとわかっているが、と言います。まあ、ゲスに勘繰ればいかにも自己啓発本っぽい台詞だ、となりますけど、僕はこれは彼の本音だと思います。
少しでも関係する分野、出来事、ものごとで誰かが不幸な目に遭うとなんか嫌なんですよ。その分野、その局面で不幸になってほしくない、そう思うので、なんかアドバイスしたくなるんです。
で、そのアドバイスはよほど注意しないと受け取ってもらえない。なので、時間をかけてその人自身が自力で解答にたどり着くような接し方をするのが最善だとよく言われてます。
それでも、時間がないって時はあるのです。右にゆけば死ぬって時に「そっちはやめろー」って叫びます。そんな感じ。
でも、あんまりないんです。先送りが一番有効ということも沢山ありますから。先送っているうちに、別の問題が生じるだけなんですけど、前の問題は後退してゆくように見えるのは確かですし、それが本人のやる気向上につながったりもしますし。
この国にはなんでもある。ただ希望だけがない。みたいなことを村上龍さんは小説の中で言いました。確かに。でもまあ、小さい成功を積み重ねてゆけば、チリも積もって希望の形にはなります。
とにかくやってみれば。
それが確かに最善のアドバイスですね。理屈で説得すると理屈で、実例をあげると実例で反論されるだけですから。
あんたならこれはやれるんじゃないの?やるならば手伝うよ。
さて、僕は仕事で「敵前上陸型プロジェクト」ばっかりやってきたように思うので、そういう話でもしますか?でもジジイの話って時代遅れだからねえ。時代劇として聞いてくださるならやろうかしら(笑)
6/18追記
そうそう、この本は
「好きなことだけで生きていく」のが「好き」なのね。
と読む分には「へー」なんですけど、
「好きなことだけで生きていく」のが「正しい」。
と読むと様相が一変してしまいます。「正しい」というのは「党派観念」ですから、個人の趣向をはるかに超えるエネルギーと毒性を帯びます。
たぶん、自己啓発にはまる人って、その「正しさ」を浴びるのが快感になっているのだと思います。それはかなーり危険な状態だと思います。
おせっかいに関しても、
「一緒にたのしもーぜ」
の間はまあ大丈夫ですけど。
「同じ生き方だ」
とかなると、ちょっと危ないと思います。理由は同じです。
ま、人との付き合いも、がやがやわいわい、がよいってことで。