静寂をまとう美しい同級生、そう、美人じゃないといけないんですよね、は群れないゆえか、存在感だけは誰もがみとめるところなんですけど、没交渉故に、その心情を知る者はいなかったんですね。
主人公は学園祭の準備の中、いるにはいるけど何もしないで座っているこの美女に、手伝いたいのでは?という意思を感じて声をかけ、それが関わりの始まとなったのでした。
次第に仲間に入って行く美しき同級生。それはまた、普通に揉め事に巻き込まれることも意味していたのです。嫉妬、あるは猜疑、あるは好意。
そう、普通に面倒に巻き込まれる、それが普通ではない境遇には、そこに至るべき場所になるんですね。
主人公と彼女はどこかしら孤独な心情があり、そこが響き合ったのかもしれないです。
孤独が生むのは背反二律。孤独を解消したい、と孤独を正当化したいのふたつ。後者はここでは体育倉庫の亡霊となって立ち上って来るのです。
なかなか、良かったのではないでしょうか。読後感はとっても良かったですから。
僕はこの美女ということにちょっと書きたいことがあるんです。このお話も美女じゃないとお話にならないってことじゃないとおもうのですけど、どうですか?
美女の定義って何?すくなくともライトノベルの水平線では。
今まで何冊読んだでしょ?50冊 くらいでしょうか?シリーズものをひとつとすると20くらい?30くらい?巨乳はともかく、美女の定義って難しくないですか?
ライトノベルの水平線では「整った顔立ち」って言葉が良く使われるんですけど、そのものずばりと「美しい」というのさえありますね。でも、これ説明になっていないですよね、だって「美しい」とか「整っている」とかは「心象」でしょ?
どうしてそういう「心象」が生まれるのかって、そういうところを突っ込んだ描写を読んでいない気がするんですけど、それこそ気のせいですか?
僕は、心情が素のまま出ている時、人は美しい表情となる、と思うのです。女の子が自分の気持にまっすぐになっているときに、男の子は「美しい」とか「整った顔」とか思う、そうじゃないのかなあ。。。。。
この話、僕は黒崎くん側から語って欲しかったかなあ。。。。鍵穴から世界を覗いていたような彼女にとって、世界がどう美しく、そこに行きたいと思うように見えていたのかを描いて欲しかったかなあ。幽霊くんも同じように世界を鍵穴から覗いていたわけだけど、彼に世界は醜悪なものにしか見えなかったのですから、見事な対比となったのでは?
なーにしろ、自分がイグアナにしかみえない、とかいう女子も創作の世界ではいらっしゃることですし。。。。黒崎くんから黒井くんがどう見えていたのか、そっちから描いたら、すんごい作品に化けたと思います。
もちろん、このままでも十分に良いのですけど。
女子の心情に関しては随分と解像度が低い
それがライトノベルっぽいのかもしれないですけど。ゆゆこさんとか、清水マリコさん、とか、はたまた今読んでますけど、日向夏さんとか、僕的には惚れっちゃいそうな心情描写、あるんですね。野郎の心情はもういいやって、年寄りですから。。。。思うこともあります。でも、切ないってのは野郎心情の特許ですし、それが好きなんですけど。。。。