海辺の風景

海野さだゆきブログ

ネックスピーカーシステム SC-GNW10 が楽器練習に最適な件

panasonic.jp

結論から言います。これをドラムの練習のために購入しました。まだスタジオでは使っていませんが、非常に有益なギアになると確信しました。

 

1、耳を塞がないので自分の音も、マイナスワン音源もよく聴えます。

2、無線なので設定、装着が楽

3、両腕が自由なのでドラム演奏に便利

4、耳元で音が鳴るので小さい音量で十分

 

そして

5、Windows11・10、PS4・PS4、そしてアンドロイドで使えます

 

ドラムの練習、行き詰まっていました。せっかくマイナスワンの良い音源があるのに、ヘッドフォンでそれを聞きながらだと自分の音が聴えません。かと言って、スピーカーで鳴らすと全体音量が上がってうるさい、、、、困っていました。

 

で、思いついたのです。ネックスピーカーならば!

 

先行したソニーの製品は以前試聴していましたが、なんか音質がイマイチでしたし、重かったのです。そこにパナソニックから後発製品が出ました。近所の家電量販店で探しましたが現物はありません。もうこれは、良くなっているに違いないと賭けに出ました。

 

良かったと思います。

 

音質については僕は普段サウンドウォリアー、AKGの密閉型モニタヘッドフォンを使っていますので、それらにはかないません。ですが、

 

すばらしい臨場感!

 

久々に空気を震わせる音の聞き方で感動しました

 

これは音楽を「体験する」という製品なんですね。ずっと音のチェックばかりしていて、すっかり忘れていました。エコーが頭の後ろに広がるんです。感激しました。

 

説明書にはありませんが、アンドロイドで使えました!僕が持っているのはレノボの古いタブレットで、OS Version 10ですが、USBで送信機を繋ぐだけで使えました。

 

これで、スタジオにタブレットとこのネックスピーカー持って行けばたのしくマイナスワンで練習できます。

 

TuneBrowser AVX2 をFireface UCX USB接続で聴く

音楽作成はWindows11機でやっています。音楽は大抵CDから取り込んで聴いています。その再生にはずっとfoobar2000を使っていたのですけど、ちょっと困ったことが起こりました。

 

音楽インターフェイスはFireface UCXを使っています。ここは偉いことにずっとファームウエアとドライバを更新し続けているのです。で、せんだって最新版にしましたら音の明瞭さが格段に上がったのです。

 

ところが、foobar2000での再生音がイマイチに感じるようになりました。僕は他にSoundForge Proも使っています。そう、両方ともとても正直なモニター的再生をするんですね。そうなると、昔のCDの音の薄っぺらさが正直に出てきてしまうのです。

 

困った。いちいちイコライジングとかしたくない、、、、なにかこう鑑賞向けの高性能再生ソフトはないものかと探しました。

 

tunebrowser.tikisoft.net

すごいです。やはり設計が優秀なんですね、サイズが軽いし、動作も軽快。すばらしい。味付けはまったく感じないのですけど、とても聴きやすいのです。有り難いですね、才能ある人がこうしたものを作ってくれるのは。

 

フリーでも十分つかえますが、僕は迷わず送金しました。500曲以上扱いますし、なによりソフトのできばえに感心しましたし、感謝しましたから。

 

お勧めします。

「ストレッチング禁止」をあえて誤解してみる

体のあれやこれやを投稿するのは避けてきました。要するに

 

体のことは全然わからない

 

が結論だからなのです。ですが「やってみた」は単なる主観の既述なのでやってもよいかなあ、とは思います。

 

あるとき動画配信サイトで甲野先生の動画のサムネイルの「ストレッチング禁止」とあったのです。実際には先生はそんな単純なお話をしていませんので、看板になんとやらなのですけど、僕はじゃあ、やってみよう、と実行してみました。

 

僕は現在週4日、8時間肉体労働者やってます。1日だいたい15000歩歩きます。もちろん手ぶらじゃありません。作業しながらの移動ですね。帰宅後1日おきにスロージョグ、体幹レーニングをやってます。

 

やってみました2ヶ月。仕事、運動の後の静的なストレッチングを完全停止

 

はい、完全におかしくなりました(笑)。

 

まずは蓄積疲労。これはこたえました。年齢が上がって下がるものの筆頭は回復力なんですけど、ただでさえそうなのにたまるは溜まる(笑い)。足首、膝、腰、背骨、首あちこち痛くなって仕事がひたすら辛くなりました。

 

そうなると精神的にもきつくなてきます。判断ミスやら気分の落ち込みやら出てくる出てくる、、、、。

 

僕はこれはどういうことなのか、、、考えました。これ、当然僕の身体観が前提です。僕のそれって簡単です。

 

1、人間は小動物であり、ちょこまかちょこまか動き続けるようにできている。

2、人間には自動調節能力が備わっている。ただし不整地専用。

 

現代の労働、肉体労働もそうなんですけど、同じことを長時間繰り返すのが基本です。スポーツもそういう側面があります。多様な動きが出きるのに、あえて機械的な使い方を強いられるんですね。環境そのものを単純化してそれを加速させています。

 

たとえば平坦な足場とか。自然ではあり得ないのですけど、僕の15000歩もリノニウム床の移動なのです。

 

僕が思うには人間の体はそういう同じことの繰り返しが苦手目的が達せられるなら動きを変えて行くのが自然なひとの動きだと思います。

 

で、同じことを繰り返さない、多様な動きで対応する、というのは武術に極端にあるんですね。同じことをすると相手に読まれますから、やるとやられるわけです。攻め手が切れたら自分があやうくなります。

 

たとえば、逃げ足が速いって言いますけど、実際、現在でも町中でさえ直線200mそれも障害物なしってあり得ないですよね。ですから、平坦直線障害物なしで「足が速い」って実用上の意味はあんまりないと思います。それよりも、相手の予想をうまわまるランダムな動きの方が効果あると思います。

 

で、このちょこまか動きって、案外、意外疲れないんです。もちろん、そういう動きをするための体の準備は必要ですが。

 

そして、基本武術は足場が悪いことが前提なんですね。なので足場が良いことを前提とした動きはすべてアウトというか、そもそも「ない」のです。

 

僕は現在、1日おきにスロージョグをしていますが、1回おきに不整地を「ベアフットシューズ」それも靴下そのまんまみたいなやつ、で走っています

 

歩く人より遅いペースですが(笑)

 

これ、正直「整う」んです。運動後のストレッチングとか違うなにかこう「まとも」に戻る感じが残るんです。

 

さて、動きのあとの静的ストレッチングを再開しました。当たり前ですけど、念入りなそれは労働の疲労をとても軽減し、疲れを持ち越すこともなくなりました。

 

やはり、人間が持つ「ちょこまかうごく」「不整地専用調整能力」を最大限に生かす場面では、そもそもその動き自体が体に自然なので、それほどメインテナンスは必要ではないのかもしれませんが、機械的な環境で機械的な動きを繰り返すという負担がすべての状況ではちゃんとメインテナンスをしてやらないと、体を壊す、と思いました。

 

ま、当たり前のことなんですけど、あえてやってみました。

やってきてしまった日本一 とある阪神タイガースファンの帰還

阪神タイガース優勝記念本』小学館

 

色々な漫画家さんが作品を寄せています。わかる。。。。わかりすぎるほどわかる。そして泣ける、泣ける、、、、のですが、、、

 

リーグ優勝、日本一、ちゃんと中継で観ていたのに、

 

現実感がない

 

。。。。。。。

 

大騒ぎしてビールがんがん飲んだ。。。。

 

現実感がない。。。。のです。

 

おかしいのです。自分がわからなくなりました。一応古参のファンです。ですが、普段は誰とも一切野球の話はしないので、妻も結婚してから知ったくらいです。

 

理由は簡単です。あの暗黒時代。

 

住居は阪神グッズだらけです。まず玄関は壁がポスターで埋まってますので、宅配の人がぎょっとしますね、たいてい。寝るときにはもちろん西川の阪神布団カバー、まくらカバー、つまり阪神に包まれて寝てます。まあ、普通のタイガースファンですね。

 

ですが、その僕が、10年前買った阪神優勝祈願だるまに目を入れられないのです。。。。。優勝当日のデイリーも保存用に取り寄せたし、、、、優勝特番録画しまくり、ニタニタ観ているのですが、、、

 

現実感がないのです。

 

おかしい、おかしいと、自分なりに考えました。そして僕はわかったのです。

 

ペナントレースが決着する時期、もしくは日本一が決まる時期、僕が何をしてきたかと言えば、1985年日本一が決まった試合のビデオを観ることです。

 

なぜなら、現実のタイガースの惨状を直視できなかったからです。

 

live in the past time paradise

 

とスティービー ワンダーの歌声が聴えてきます。

 

プロ野球のクライマックス時期は僕には現実逃避の時期なのです。そうでもしないと堪えられません。それが長年の習わしになっていました。

 

それが2023年秋は現実から逃げる必要はなくなりました。ですが、僕にはバーチャルな世界、1985年がこの時期、現実だったのです。たとえ逃避先であろうとも。

 

現実と「僕にとっての現実」が衝突して、僕は大混乱になってしまったのです。

 

ゲーム、アニメ、マルチ展開した『.hack』、あるいは押井さんの『Avalon』で出てくる「未帰還者」になってしまたようなものです。

 

上記本の『シュレジンガーの虎』ほりのぶゆき、わかりすぎます。

 

阪神タイガース日本一後遺症

 

「試合観ないと勝つ」とか、他球団のファンの皆様にはまったく理解できない心理状態が通常運転な我々暗黒時代を耐え忍んで、、、

 

いえ、バーチャル1985年世界線に逃げ込んで自ら現実との接点を絶ってしまった結果が「未帰還」なんです。

 

そこで僕は思い出しました。そうです。

 

ゴドーを待ちながら

 

あのベケットの名作。演劇を少しでも好きな人なら知っているあの作品。脚本を読むとよくわかるのですけど、あれはどたばた喜劇だと思うのです。でも、それがゆえなのか深遠な哲学的思索を促す孤高の傑作という評価もまた揺るぎないものなのです。

 

まちがいなく『ゴドー』に影響を受けた別役実さんが書いた『街と飛行船』。小学生だった僕はものすごい衝撃を受けました。

 

阪神ファンにとって日本一は38年待ったゴドーだったのです。

 

切に優勝を願い、裏切られ続けても辞められず次第に奇妙な形をとって行くファンのゲンかつぎの数々。。。。。まさにどたばた喜劇。。。。。次第に哲学的思索さえ促すようになったそれらは僕からも「ふつうに勝つ」現実の受け入れできなくしてしまったのです。

 

ゴドー   駄目だよ、こいつらにはどうしても、私がゴドーで、その私が来たってことがわからないんだ、、、、、(『やってきたゴドー』別役実 初演2007年)

 

別役さんは刊行された脚本のあとがきにこう記していらっしゃいます。

 

ゴドーがやってくることにした。もちろん大発見ということではない。と言うより、むしろ「禁じ手」と言うべきであろう。「やってこない」ことにあってのみ成立している構造のタガをはずすことになるのであるから。

しかし、私は少しく苛立っていた。「やってこないのに待っている」ということのイロニーが、次第に色あせ、落差を失い、「笑えなく」なりつつあることに。

 

ふふふふ、、さしずめ月が青いってことかな、、、

 

2024年2月1日「猛虎キャンプレポート」を1日中観ながら僕はそう思ったのです。

 

上記本のなかの『15年前のアレ』さそうあきら、本気で泣きましたよ、さそうさん。来たんですよゴドーが。

 

いざ!現実に帰還せん!(『うる星やつら ビューティフルドリーマー押井守監督)

 

あ、でも僕は今後も誰とも野球の話はしませんよ。家庭内と球場以外は。

2024年2月1日

って、「おまえさん2004年3月30日で日付が止まっているし、だるまに目を入れていないし、85年発売の人形もずっとそのままなんかい」

 

だって、日めくり、めくれないんですよ、金縛りにあって、、、、

『哀れなるものたち』ヨルゴス ランティモス監督

初日初回、お昼からの上映でした。10人位お客さんはいました。

 

で、僕はまたまた上映前に「みなさん、大丈夫ですか。この映画かなり強烈だと思うのですけど」と余計な心配をしていました。

 

いやあ、なんと言いますか、予想通り、例の底意地の悪い冗談、皮肉、風刺の百鬼夜行でした。

 

とにかく容赦ないです。次から次へと畳み掛けて来ます。演技、造形、絵作り、は本当に圧倒的で、言葉もないのです。映画として面白いこと、面白いこと、ですが、、、、

 

しかし、まあ、和と気疲れの国に住んでいる人たちからはこの映画は生まれませんね。もしあるとすると、ピンク映画時代の滝田洋二郎監督の「病院もの」くらいしか思いつきません。

 

そうそう、あとで気が付いたのですけど、これ「成人映画」なんですね。今日の夕刊の広告がでかでかと、やれアカデミーにノミネイトだとうたっていましたけど、成人映画だからご注意とか書いていないんです。大丈夫でしょうか、、、、

 

観ていると

 

近代の病はすべてイギリスから

 

なんて、言葉が頭に浮かびました。と、言ってもこの日本でも江戸時代後半には同じ様な病が社会的に問題視されていました。まあ、今と違いまして、「一部で問題視」というべきだと思うのですけど。

 

四谷怪談』や『雨月物語』にはっきりと描かれていますね。その後の乱歩たちの作品とかは急に出てきたわけではないと思います。

 

映画というものがそうなように、この映画で描かれている人たちにとって、すべては「人工物」なんですね。人体さえ「機械」。まあ人体のどこを探しても「神が作った証拠」が出てこなかった以上、そういう理解になったのかもしれません。

 

そのまあ「ロジカル」さに僕は「行き詰まり」を感じるのですけど。主人公の口から出る「ロジカル」、、イヤになってきません?その「世界観」が崩壊するまで人類は突き進むのかもしれませんけど。。。。

 

『モンティ パイソン』とか『ミスター ビーン』の底意地の悪い冗談を楽しめる人には強くお勧めしますが、楽しめない人には強く回避をお勧めします。

 

あ、あと音楽、これもまあ底意地の悪い、、、でも面白かったですけど。

 

あ、あと結構尺が長いんです。またまた、エンドロールが終わるのを待てずにダッシュして行く方が、、、、明るくなった時には客席には3人しかいませんでした。

 

 

『YUKIHIRO TAKAHASHI LIVE 2018 Saravah Saravah!』 109シネマズプレミアム新宿

映画の前売り情報をみていましたら、幸宏さんのライブをやるというではありませんせんか。これは行かなくては!

 

と、何も考えず席を予約購入。金額が随分と高いのに取ってから気が付きました。

 

でも、これブルーレイになっているんですよね。。。その上映でなんでこの値段?

 

そうか、この映画館は教授が音響に関わったまさにプレミアムなハコなんですね。幸宏さんのライブを教授が関わったハコで観る。これは最高の企画ではないですか。最高のお別れです。。。。。

 

IMAX並の大きなスクリーンで観るライブは臨場感がありました。映画館はほんと高級ホテルみたいな雰囲気でゆっくり楽しめました。

 

『Whar me worry』擦り切れるほどレコードを聴きました。木造アパート、暑い夏、何もかもうまくいかない大学生活、映画館に引き籠もり、、、、。少女漫画に文字通り埋もれていた四畳半で、このレコードは別世界をみせてくれました。

 

当時、ここまでユニークで高い音楽性のサウンドは他に見当たらず、本当に衝撃でした。とっても影響を受けました。

 

バンドやるんだと入ったサークルでも、どこか悶々としていた僕。映画音楽が、それもアマチュアの映画の、をやりたかったのに、すぐに空中分解する企画、音信不通になる「監督」、精神不安定なスタッフ、、、、、

 

それでも四畳半で僕は架空のサウンドトラックを作り続けていました。当然バンド活動は続けられずサークルも脱退。ひとりぼっちの多重録音。

 

購入したリズムマシーンは必ず「ユキヒロ」と名付けていました。幸宏さんのドラム、大好きだったのです。

 

すべてに行き詰まった感覚につぶされそうになって、羽田の多摩川河口で夕暮れから、ぼーっと土手に座って、生ぬるい夜に飛び交う飛行機、不夜城みたいなコンビナートの明かりをみていた夏。。。

 

いまでも思い出すと胸がつぶれます。その中で綺麗に光る音楽。支えてくれた幸宏さんたちミュージシャンの作り出す音楽。感謝しかありません。

 

真っ暗だった僕の4年間の大学生活。就職活動も不調におわり、「住所不定無職おまけに低収入」な未来が決定した時に、気分はなぜか魔法のように黒い霧が晴れて抜けるような青空になりました。

 

『What me worry』の青空。

 

欝状態の反動だったのかもしれません。長年意中の女の子ににこにこして告白して即刻ふられても、そうかあ、ありがとうね、で、「あなた前と別人」と驚かれたり。就職面接ではシーンとしていた控室でひとりご機嫌にとなりの人に話しかけて連絡先を交換したり、、、

 

まさに冬が終わって春が来たようでした。

 

そして、中学の時の友だちと貧乏野宿旅を始めた早春。バリバリ凍るテントで寝ていた僕ら。そんな時にアパートに某地方自治体からの採用通知が届いていたのでした。

 

ありがとうございました。幸宏さん。あなたの音楽がなければ僕はとっくに終わっていました。僕も残りの人生楽しみます。

『Perfect Days』ヴィム ヴェンダース監督

ヴィム ヴェンダース映画は眠い

 

1月4日、もうお正月は終わっているから映画館も空いているだろうと思ったら、ロビーは大混雑。あれ、そうか子供達はお休みだし、「世間」はまだお正月休みなんだ、、、と正月も平常通りに働いていた高齢者は自分と「世間」とのずれをまたまた感じたのでした。

 

まあ、でもみんな『スパイ アンド ファミリー』とかだろうし、こっちは空いているよな、、、

 

って、99人キャパに70人は入っているではないですか、久々に自分の座席の両隣が塞がってしまいました。

 

え?みなさん、スクリーン間違えてません?だってヴェンダースですよ、ヴェンダース。。。。。

 

ああ、役所さんがカンヌとったから話題なのかって、でもね、ヴェンダースですよ、ヴェンダース。。。。

 

ヴェンダース君はとても良い映画を撮ります。でも僕は自宅では完走したことがありません。いつのまにか寝てしまうからです。自宅のリラックス環境では最後まで目を開けていられません。。。。

 

みなさん、だいじょうぶ?

 

映画開始。おいおい、この画面サイズかよ、、、、、、、。あああ、君のやりたいことがもうわかってしまったよ。このサイズだよね、、、やってみたかったんだよね、、、わかるよ、すごくわかる、舞台は日本だしね、、、。

 

早速ヴェンダース君の「繰り返し攻撃」が始まりました。ああ、君は『シャル ウィ ダンス』での役所さんの自転車のシークエンスが好きなんだね、、、僕もだよ、、、

 

って、中年のおっさんの何の代わり映えもしない、何の変哲もない日常描写の繰り返し攻撃です。

 

20分過ぎにはすやすやと寝息が聞こえてきました。。。。

 

ふふふふ、この程度の攻撃でHPゼロになるようでは、このダンジョンは攻略できませんよ、、、、まあ、こん棒とホイミーだけでクリアする強者もいますけど、、、

 

ひゃあ、、、パティ スミス、、、、みなさん、だいじょうぶ?聴いたことないよねえ、、、という「カセットテープ攻撃」に集中力を失って、みるみるHP減らしているひとたちの静かな呼吸が聞こえます、、、、

 

いよいよ「なーんにも劇的なるものが起こらない攻撃」に耐え兼ねた人が座り直してます、、、、

 

しかし、首都高は使わないでしょう。必然をまったく感じないですよ、お金と時間の無駄、、、ってあああ、そうか

 

君はタルコフスキーの「あれ」がやりたかったんだね。。。わかるよ。。。。わかる。。。わかりすぎるほどわかる。。。舞台が日本、東京だしね、、、しかし、まあ、同じ画面を再現するとは、、、、ヴェンダース君、君はしあわせだよね。

 

余計に眠くなるよね、、、なににせよ、眠さ世界一のタルコフスキーだよ、、、

 

しかし、いまフィルム現像してくれる街の写真店なんてあるの?現像撤退で僕も虎の子のマミヤ7手放したんだけど、、、

 

って、そうかヴェンダース君、あれをやりたかったんだね、、、そうか、、、、

 

っていうところで茹で玉子みたいにつるんとした若い女性登場。客席になんかほっとした空気を感じますけど、、、これ「かわい子ちゃん5人出しとけ」のアニメによくある「ねーよ帝国主義」ではないんですよ、、ね、、、

 

このあたりでヴェンダース君が必殺技を繰り出してきました。

 

木漏れ日映像です。

 

うわーーー、これは眠い!ちらちらと何かが横切るその淡い映像。

 

目が、目があああ、、、、

 

目が強烈に眠い、、、どうしようもなく眠い、、、

 

ここで客席のあちこちで「聞かれもしないことに頷く」ひとたちが、、、ついに力尽きてしまったのですね、、、、

 

これは強烈です。前からサンドマンが砂をかけてくるし、耳元では鳩の群れが羽ばたくし、体の横を何千頭もの羊がモフモフしながら通り過ぎて行く、、、、そこに「船頭がうなる民謡に併せてたたく心地好い樽の音」が、、、、

 

ふふふ、ヴェンダース、これは強烈な攻撃ですね。でも僕はチートでHPが999に自動的に戻っちゃう技を習得済みなんです。

 

イントレランス』や『裁かるるジャンヌ』といった無声映画を学生時代にしっかり授業で浴びていたからね、、、寝たら単位もらえないし(嘘です)、、、、この程度では僕は倒せないよ、、

 

って、おいおい、貧乏アパートに最新型ベンツって、、、え?御曹司だったの?韓国ドラマじゃあるまいし、、、ってこれもやってみたかったんだよね、

 

やあやあ、それにしても出てくる役者さん、全員「芝居ができる」人ばかりですね。。。「下手な役者にゃ叫ばせろ」ですけど、優れた役者さんばかりで、だれも叫んだり泣きわめいたりしません、、、いい役者さんだけの映画は眠いのです、、、、

 

あああ、ルー リードだったんですね、、、納得の選曲ですが、今日のお客さんはどうみてもNYパンク聴いてきた客層ではないですよ、ヴェンダース君、、、『トランスフォーマー』の1曲なんですね。いい歌です。ほんと。そうかルーはドイツにいたこともあったんですよね。

 

最後、役所さんのなんとも言えない表情のアップが続きます。すごいよなあ、この表情の変化は。

 

でも僕は役所さんが「めりーくりすますみすたーろれんす」とか言い出さないか心配になってしまいました。

 

さて、客席の勇者のほとんどが志半ばで倒れてのエンドロール。

 

ふふふ。ラストマン スタンディング だ。。。僕は完走した達成感、満足感。

 

そして、僕の胸にほんの小さなさざ波が起きます。その小さな波動がとても心地好い。僕のどこが波立ったのかはわかりませんが、この言葉にはできない感じ、それがヴェンダース映画のすばらしいところなんです。

 

ありがとう、ヴェンダース君。やっぱり君の映画はすばらしいです。

 

でもね、、、、せっかくのエンドロールなのに途中でトイレにダッシュする高齢者のみなさん、疲れて重い体を座席からやっと引き剥がすひと、連れの彼女に申し訳なさそうな顔をしているひと、、、

 

やっぱり、眠くて長い映画は観るの大変です。