海辺の風景

海野さだゆきブログ

『哀れなるものたち』ヨルゴス ランティモス監督

初日初回、お昼からの上映でした。10人位お客さんはいました。

 

で、僕はまたまた上映前に「みなさん、大丈夫ですか。この映画かなり強烈だと思うのですけど」と余計な心配をしていました。

 

いやあ、なんと言いますか、予想通り、例の底意地の悪い冗談、皮肉、風刺の百鬼夜行でした。

 

とにかく容赦ないです。次から次へと畳み掛けて来ます。演技、造形、絵作り、は本当に圧倒的で、言葉もないのです。映画として面白いこと、面白いこと、ですが、、、、

 

しかし、まあ、和と気疲れの国に住んでいる人たちからはこの映画は生まれませんね。もしあるとすると、ピンク映画時代の滝田洋二郎監督の「病院もの」くらいしか思いつきません。

 

そうそう、あとで気が付いたのですけど、これ「成人映画」なんですね。今日の夕刊の広告がでかでかと、やれアカデミーにノミネイトだとうたっていましたけど、成人映画だからご注意とか書いていないんです。大丈夫でしょうか、、、、

 

観ていると

 

近代の病はすべてイギリスから

 

なんて、言葉が頭に浮かびました。と、言ってもこの日本でも江戸時代後半には同じ様な病が社会的に問題視されていました。まあ、今と違いまして、「一部で問題視」というべきだと思うのですけど。

 

四谷怪談』や『雨月物語』にはっきりと描かれていますね。その後の乱歩たちの作品とかは急に出てきたわけではないと思います。

 

映画というものがそうなように、この映画で描かれている人たちにとって、すべては「人工物」なんですね。人体さえ「機械」。まあ人体のどこを探しても「神が作った証拠」が出てこなかった以上、そういう理解になったのかもしれません。

 

そのまあ「ロジカル」さに僕は「行き詰まり」を感じるのですけど。主人公の口から出る「ロジカル」、、イヤになってきません?その「世界観」が崩壊するまで人類は突き進むのかもしれませんけど。。。。

 

『モンティ パイソン』とか『ミスター ビーン』の底意地の悪い冗談を楽しめる人には強くお勧めしますが、楽しめない人には強く回避をお勧めします。

 

あ、あと音楽、これもまあ底意地の悪い、、、でも面白かったですけど。

 

あ、あと結構尺が長いんです。またまた、エンドロールが終わるのを待てずにダッシュして行く方が、、、、明るくなった時には客席には3人しかいませんでした。