初日初回観て参りました。失われてしまった看板酒の復活劇です。話の途中であれ?と思う点はありましたが、ひとつの目標に向かって突き進む人たちのまっすぐさが爽快な作品でした。
まず感じたのは、これは日本映画のテンポだなあ、ということです。『アンダーカレント』でも言いましたけど、「眠い」んです。これは「退屈」ということではないのです。アメリカ映画を観ると全部が全部ではないですけど、個人と個人がゴンゴンぶつかり合うんです。恋愛場面でも喧嘩しているのか?と思うくらいぶつけ合いますね。
対して、誰が言ったか忘れましたけど、ある女優さんが「わたしたちの東アジアではお互いが染み込んでゆくように愛しあう」と表現したように穏やかなんですね。ゆっくりと水に溶けて行くように、ちがう液体がゆっくり混ざり合うように、感情の時間が流れて行くので、「眠い」んです。
ま、全部が全部ではないにせよ、そんな感じです。
ウィスキーはブレンドで作られますから、この東アジア的な「お互いが染み込んで行く」テンポは主題そのものと言えますから、すごく合っていたと思います。
あと、は画面の彩度の問題ですね。これ、やはり日本は多湿なんでそれが光が独特の不透明なフィルターがかかってような絵を作るんです。それがアニメだとちがう絵を作れるんだなあ、と感心しました。
公式サイトの一枚の絵でもわかるように、輪郭のある塗り指定イラスト風に空や風景を処理しています。湿度を感じないです。これよく考えましたね。パステルカラーが滲むって感じの絵になりがちですけど、いやそれも好きなんですけど、この映画にはぴったりでした。
で、観た人のなかには「これ実写でよくね?」って思う方がいるでしょうけど、これも僕はアニメの勝利だと思いました。アニメって、「人らしさ」の文字通りすべてを入れて行かないと成り立たないんです。
なので、「どこかにいそうでいない」人を立たせることができるんです。まあ、それは僕がよく口にする「ねーよ帝国主義」にもつながってしまうんですけど、今回はうまくいっていると思います。
この映画ももちろん「聖地」はあるのでしょうけど、生身の人間の持つ「地元感」がない分、日本各地にある蒸留所のどこでもなくどこでもある、という感じをうまく出せたように見えました。
で、、、問題は、、、映画の帰りに寄ったスーパーマーケットでは小さな蒸留所のウィスキーは売っていないってことでした。。。。
日本ワインは結構種類あるのになあ、、、、