音楽ものが読みたいと思って、電子書籍サイトをうろうろしていて、粗筋でこれはと思って読み始めました。
すぐにこの文章の感じは以前に読んだことがあると思って、作者を確かめてみました。そう、著者を気にしていませんでした。
やはり、杉井さんでした。『神様のメモ帳』『さよならピアノソナタ』は読んでいましたし、好きでした。
気の強い女子との対話は今時のお約束ごとなので、作者さんは苦心したところでしょうけど、すらっと読み進ました。
ラノベなのですから当然「ねーよ帝国主義」支配下にあります。これ、要するに「こんなのありえない」「こんな女の子いない」など、読んでいて「ねーよ」と思うポイントが必ずある、という僕のラノベやアニメなどなどの傾向を指す言葉です。
その部分は僕の杉井さんの読みどころではありませんから。
だいたいこんな言葉をよく知りもしない人にぶつけるのは暴力的な結末を望む人間だけですからね。。。。「ねーよ帝国主義」ではこれは「残念」とか「ツンデレ」に翻訳すべき事象です、はい。。。
出てくる人間が能力高杉晋作(笑)。これ平凡な普通高校なんですよねって、まあ、僕も高校時代このレベルの同級生に遭遇しましたけど、あれは例外でしょう。これもラノベのお約束ごとなので、そこは深く追求しません。
そういう「ねーよ帝国主義」を掻き分けて読むと、実に静かな光景が顔を出します。ヒロインたちの孤独と焦燥、そして渇望していることが見えてきます。
そしてなによりも、杉井さんはエンディングが美しいのです。それも染み入るような美しさなのです。最初に『神様のメモ帳』を読んだときに本当に心打たれました。
そして、本作品でもそれは同じでした。
素晴らしい作品をありがとうございました、杉井さん。