海辺の風景

海野さだゆきブログ

趣味も年をとる その4 ヘッドパーツ交換

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今回のお手入れの最後はヘッドパーツ。もうサビ錆になっていました。手入れを全然していませんでした。

 

今回はタンゲのMA-60Cを選びました。リテナーが落ちないようになっている「輪行ヘッド」ですね。

 

この交換作業は、さすがにプロに任せることにしました。もう二度と交換しませんし、作業難易度がハンパなく高いからです。ネット情報をみますと、自作工具でやっていらっしゃる強者さんが何人もいらっしゃいます。すごいです。僕はあきらめました。この部分の精度は手に負えないと思ったのです。

 

近所の老舗に依頼しました。そこはちょっと見た感じは普通の街の自転車屋さんですが、よーくみると、奥に三連勝のフレームが「非売品」で飾ってあり、その横には「サムソン」の新品のフレームが2つも吊されています。

 

絶句ですよ。すごすぎる。「頼めば新しいの作ってくれるよ」。。。って、僕の財力では無理です。。。はい。。。しかし、綺麗なフレームです。ほれぼれしちゃいます。

 

「昔はスポーツサイクルやっていたからね」。。。。。

 

サイクル野郎の時代でしょうか。自転車が今とは違う感じですけど、すごく輝いていた時代ですよね。僕もその時代に自転車小僧になったわけです。

 

仕事はさすが!いやあ、今まではなんだったのでしょう。直進性もハンドルの安定度も、キレも別物。メインテナンスを怠っては、本来の状態も忘れてしまうんですね。反省。また反省。

 

料金は4000円。安いと思います。

 

輪行ヘッドにしたのは、輪行が予想されるからです。妻がぼそっと、

 

東海道、歩くのは無理だけど、自転車ならば行けそうだから、行ってみたい」

 

と言ったからです。お互いいつまで健康でいられるかわかりません。元気なうちにこれは実現しなければ!。

 

もともとは妻の自転車です。これで、妻の自転車は随分と健康を取り戻しました。妻の道具の準備は整いました。次は僕の番です。

趣味も年をとる その3昔の名前で出ています

プロダイ難民(承前)

というわけで、しばらく走ったのですけど、オリジナルのシャフトを研磨して使うのが最善じゃないのか?と思ったのでした。

 

なにしろ自転車の精度はたいしたことがないらしいのです。具体的な精度はどんなものかはわかりませんが、ハブの虫食いって、見た目はすごいですけど、たいした深さの傷ではないのでは?と思ったのです。

 

「ハブ、球押し、研磨」で検索すると、やっぱりやっていた人がアマ、プロともにいらっしゃいます。やろう!どうせあと10年くらいしか乗れないのだし、、、、

 

困るのがシャフトの固定です。幸い元気な電動ドリルがあるのですけど、チャックにはシャフトは入りません。考えたのはシャフトのクランク固定のネジ穴に両ネジを突っ込んで、このネジをチャックに固定する、でした。

 

現物を持って、前に進めないほど強い北風の中、あそこにはあるだろう、と思われた10km先の巨大ホームセンターに行ったのですが、M8の1.0mmピッチだったんです、ネジ。がーん。置いてないんですよ、特殊なネジって扱いなんですよ、一般的なところでは。

 

前にもステムのネジがこれで、適合するナットがなくて、結局ネットのネジ専門店で購入ってことがありました。ありゃあ。。。。

 

仕方がありません。ピッチが合わなくても、少し入りますから、それで固定することにしました。

 

やすりはダイアモンド研磨の丸。電動ドリルには遊びがありますので、これが絶妙に押し付け過ぎを防いでくれます。研磨は時間をかける必要があります。

 

映画のビデオを観ながら、ひたすら軽く当てて、削れて行くのを待ちます。2時間すぎたあたりで、虫食いはところどころに針でつついたような傷のみ、っていう状態になりました。やった。

 

あとは耐水ペーパーで磨いて行きます。400、800、1500、もうぴっかぴか。

 

今後はメインテナンスをちゃーんとやってゆくことを心に決めて、シャフトを装着しなおしました。3K-Bはきれいに球跡がみてとれました。カップ、リテナーの精度?強度?が高いのかなあ、と勝手な感想をいだきました。

 

試走。やっぱり、気のせいでしょうけど、しっくりきます。チェーンラインも本来のところに戻ったので変速はスムース。

 

年取ったら、メインテナンスが重要、ってのは人間も機械も同じです。残りの寿命をちびちび使って、余生を楽しみます。

趣味も年をとる その2 プロダイ難民

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結論から言えば、SUGINO 75の左右ワン、リテーナーと3K-Bのシャフトとで代用がうまくゆくのか様子を見ています。

 

 

もっと綺麗にしておけ、ですよね。でも毎日通勤でこき使って、これでも少しは綺麗にしたんです、、、はい、、、、もう傷だらけ、ぼろぼろって見えますけど、立派に働いて来ました。。。。もっと手入れをしていれば。。。。

 

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ここで、プロダイ難民問題が発生しました。予想はしていたのですけど、厳しい状況です。

一番下がオリジナルのPW-68です。30年近くたっても、錆一つありません。メイドインジャパン万歳。でも、手入れを怠ったため、案の定虫食いだらけです。つかえません!

 

真ん中が3K-B。代用できるってウワサで、和歌山の6wheelさんから入手しました。もちろん、適合保証はありません。覚悟です。

 

一番上はダイアコンペがランドナー用に出しているENE CICLOブランドのBBです。これは軸の長さが116mmで、一応PW-68と同じなのですけど、入手してみれば、やはり、左右対称。これでは間違いなくダブルでも使えないでしょう。無念。

 

そして、写真では分かりにくいのですけど、テーパーが違うんです。PW-68はJISではない?まったくこの辺りの事情は複雑です。

 

ボトムブラケット BB シャフト 交換 スクエアテーパー 四角錐

 

こちらのサイトに詳細があります。つまり、近似値ではあるけど、同じとは言えないのです。そして、SUGINOは

スギノエンジニアリング - 【重要なお知らせ】スギノ75クランクセットと他社製B.B. との組み合わせによるトラブルについて

と、警告していますけど、たぶん、この問題が起きる可能性が大きいのです。

 

BBセット交換-SUGINO 75 vs プロダイ: リターンライダー

 

こちらの情報で、SG75も入手。しかし、こちらさんはオリジナルのシャフトを使用しているんです。

 

これは危険な賭けです。でも、やるしかない!

 

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さすがNJS認定製品、ものが違いますね。

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突き出し寸法は微妙です。でもやってみます。

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新品のシャフトですと、なんか、どこまでも締め付けられる感じになってしまうんですけど、これは危険です。トルクレンチはもっていますけど、ここまで薄いヘキサは持っていませんで、勘でやるしかないです。

 

チェーンラインは計るまでもないですね、干渉はないですけど、明らかに内側に入っています。これが許容範囲かどうかだけです。

 

走ってみました。変速もスムースですけど、やはり気になります。でも、これでちょっと様子を見ます。大きな力が入る部分ですから、最悪クランク破損を覚悟しないといけません。結構怖いですね。クランク変更しようかなあ。。。。でもプロダイが好きなんですよね。

 

オリジナルのシャフトが欲しいです。地道に探します。もしくはクランクを変更です。

 

 

 

趣味も年をとる その1 ハブ難民

還暦がどんどん近づくにつれて、しみじみ感じたのは「趣味も年をとる」ということです。

 

僕がずっと通勤に使っているランドナーは実は妻の自転車です。26年前にフルオーダーしたものです。当時の僕の自転車へのこだわりが詰まった1台です。

 

基本的に部品をあまり替えては来ませんでした。そして、メインテナンスはほとんどなされておらず、コンディションは悪い状態でこき使って来ました。

 

手入れをしたのは、タイヤ、チューブ、カンチブレーキ、前後のディレーラー、フリーくらいです。

 

あと何年乗れるのでしょうか。つまり、高齢になった僕は自転車が漕げる状態なのでしょうか

 

先日ハブのグリスアップを久しぶりにしたところ、コーンやベアリングの球の痛みが来ているのに気が付いて、部品交換をしました。これが大変。ベアリングの球は超高精度の球の舟辺精工さんのG3というとてつもないものを調達しました。困ったのがコーンの方。大昔のシマノなので、近い部品があるだろうと思っていましたが、これがさっぱり分からないのです。

 

仕方がないので、片っ端から注文してみました。リアアブには虫食いがあって、絶対に交換なのですけど、微妙に違うんです。どうしても1ミリ違う。。。。廻り止めのワッシャをはずしてなんとか合わせました。フロントハブは、虫食いがある片方だけ替えるに留まりました。

 

問題はずっと手をつけていなかったボトムブランケットです。スギノのプロダイにTAリングという組合わせのダブルなんですけど、BBはもうぼろぼろなのが予想されるので、交換候補を探したのですけど。

 

ない。。。。。

 

四半世紀が経過した今、年老いた自転車の年老いた部品に「跡継ぎ」は居なかったのです。なんか身にしみました。

 

どうしよう。。。。BBどころかクランクセットもろとも交換か。。。。いや、やっぱりプロダイ+TAは替えたくないなあ。。。。

 

この自転車をオーダーしたお店も、すっかり今風のロードメインの姿勢になっていまして、相談できない感じなんです。以前、フロントディレーラーのバンド止めタイプを探しているんですって、相談したら、若い店員さんは、今時もうないですよって、、、、ああ。。。。

 

苦闘は続きます。。。。。

『星明かりグラフィクス』山本和音 著

関東は埼玉にある美術大学を舞台にした青春劇です。とあるウエブサイトでお勧めされていたので、即読みました。

 

主人公はふたり、思春期前期の「事件」が原因で、と本人が納得しているだけなのですけどね、潔癖性になった女の子と、その才能をなんとか世に出す役割をやりたい、その「業績」で自分を世に押し出したい、つまりコネクションで世渡りしたいという女の子二人です。

 

面白いです。絵は的確かつ適度な「ゆがみ」を得てとても心に入って行きますし、ストーリーは極めて客観的で時間軸の「ゆがみ」がないのです。

 

あ、「絵のゆがみ」って、何?ってことですけど、音楽をやる人間からすればそれは「ノイズ」なんですよね。エフェクターって言うべきでしょうか。

 

コマを観てください。きれいな、そして動きのある絵を描ける作者は、なぜか画面のあちこちに「意味不明」な、それこそ消ゴムのカス?って思うような、点や線を描き込んでいるんです。これ、消し忘れやミスではないです。

 

どうしても、それを描かないと絵が治まらないんですね。そこが実に絵を描くヒトの世界認識なんです。と、僕は思うのです。

 

だって、音楽やる人間で、音を歪ませないと落ち着かないって、絶対わかるでしょ。なんか、おさまりがつかないんですよ。ゆがまないと。

 

これはどういうことかと言えば、たぶん、こういうことだと思うのです。

 

例えば、僕らは屋外で上を見上げれば、「空」って言葉で「それ」を認識しますよね、でも、でも絵を描く人は「空」って言葉の純粋さに違和感を、とても強い違和感を、もっと言えば「嫌悪感」を感じるんです、なので、どうしてもそこに「空」って言葉で綺麗にならされてしまう「何者か」を描き込みたいのです。

 

「言葉」って、伝達のための、思考のための「便宜」だって、絵を描く人はどうしても、そこを突っ込みたくなるんです、たぶん。ちがうかなあ、、、、音楽をやる僕からすればそうとしか見えないんですけど、、、、どうでしょう?

 

主人公の「潔癖性」は、「名状しがたきもの」が認識されたがゆえの、「語れないものが見える」ということなんだろうなあ、って思うのです。

 

彼女が自室で見たのは、「お父さん」という言葉で簡単に片付けられない「何か」だったのです。言葉で処理できないので、彼女は脳の動きを制御できなくなったのです。

 

そう、言葉は脳の最大の「発明」なんです。脳は要するに「省エネ」なので、、事柄をいちいち詳しく調べたりしないのです。その省エネが生んだのが言葉。だって「お父さん」の一言で、思考は停止します、感覚器も停止させられますからね。

 

その「お父さん」で済まされたひとつの生命の持つ、色々な側面を「消化」できないから、彼女は「嘔吐」するわけです。

 

石森先生の偉大なる発明。コマの空白に浮遊する「なにか」。

 

美術、って、脳が省エネで切り捨てた世界の片鱗を見せてくれるんですよね。僕はそう思います。

 

で、その彼女の特異さを「才能」、いえ「才能=社会的な価値」とみるもうひとりの女の子は、案外「言葉」を持っていないのですね。見えてしまう彼女を表現するする言葉を持っていないのですね。

 

はっきり言って、これは傑作です。もう第一巻だけで、傑作です。僕はこれを読んでラッキーでした。はい。

『Sea Breeze 2016』角松敏生

角松さんは天才だと思っています。僕にとって天才というのは、どうしようもなく追い詰められたときに「聴けた」音楽を作った人のことです。そういう状況ですと、音楽さえ遠ざけたくなるのですけど、それでも耳に心に響く何かをもっている作品を作る人は確かにいます。

 

で、例によって遅れて購入しました。実は半信半疑。「歌を入れ直した?」それは今の方が絶対に歌は圧倒的に良くなっているんですから、悪かろうはずがないですけど、それが角松さんの「今」を表現するものになっているのでしょうか?などと思ったのです。

 

しかし、聴いてみてびっくり。これ、なんというか、この手があったのか、といいますか、このやり方でやってのけてしまうのか、とひたすら驚きました。

 

演奏は30年前のままですから、「サウンド古くなっていないのか?」と思うのは普通かと思いますけど、そういうものではないのですね。

 

角松さんの歌が30年前の演奏家をそのまま「タイムトンネル」で現代のスタジオに立たせて演奏させてしまったのですよ。

 

たまげました。

 

正確に描写すれば。当時の演奏家の実力がはんぱなく高かった。そのセッションと丁々発止のやりとりを楽しんでいるというとってもライブ感あふれる歌唱なんです。

 

これ、角松さんのライブ盤なんです!時空を越えたライブ盤。すごい!

 

あの頃を懐かしむものじゃないんです。この21世紀のライブレコーディングなんです。確実に「今の」角松さんなんですね。いやはや。。。。

 

参りました。

『フルメタルパニック!戦うボーイミーツガール』賀東招二 著 四季童子 イラスト

温故知新。僕がライトノベルを読み始めた時点でジャンルを代表するヒットと言われたものを読んでみる、のシリーズ。

 

ロボット戦闘、秘密組織、オーバーテクノロジー、美少女、学園もの、、、ということでしょうか。ごった煮という感じはしませんで、これはハードボイルド、アクションものというのが読んだ印象です。

 

文章はとてもスピード感があって、どんどん読み進んでしまいます。途中沢山出てくるミリタリーな蘊蓄も割りとあっさり読めてしまいます。文章のスピードって何?ということで言えば、簡潔な説明ということでしょうか。

 

主人公、その所属組織、その敵、などの詳しい説明はありません。すべて謎のまま第1巻は終ってしまいます。その後ロングヒットとなったのも続きが読みたくなるこの展開だったからでしょうか。

 

まあ、「殺人マシン」みたいな経歴を匂わす主人公が、天然?なヒロインに接するうちに、人間味に目覚めるというあたり、年齢が10年上だと大分違った描写になるのでしょうけど、何しろ高校生ですから、「若さゆえ」にどこかしら切実過ぎる感じですね。

 

もちろん、先に挙げました各種の要素は「これぞ中二病」というに十分です。ねーよ帝国主義全開ここまでくればあっぱれ。読ませてくれます。シリーズとして長く愛された理由はよくわかりました。とっても面白かったです。え?もう1巻終りなの?という。はい。