海辺の風景

海野さだゆきブログ

『行商人に憧れて、ロバとモロッコを1000km歩いた男の冒険』春間豪太郎 著

まさにタイトル通りの内容です。そもそもの始まりは、フィリピンに行ったまま連絡の跡絶えた親友の捜索にかの地に渡ったことでした。観光地とは無縁の場所で作者は人生ではじめて「外部」の存在を知り、とても心打たれるのです。

 

冒険がしたい、と。冒険というのは馴染んでいる日常から、その「外部」に身を置くこと、そこで生き延びること、だと言えましょう。

 

この本は要約するのが本当に勿体ないのです。内容を紹介していたら、全文引用になってしまいます。そのくらい色々なことがぎっしり詰まっています。

 

作者はロバに荷車を引かせての旅に出るのですが、そのロバを初めとして、動物たちと「出会い」ます。その出会った動物たちと一緒に旅をするのです。

 

もちろん、危険にも出会います。その準備はかなりちゃんとやっています。さりげなく「日常会話くらいならなんとかなる」みたいなことを書いていますけど、それってかなりの努力です。対人スキルも客引で磨いたとさりげなく言っていますけど、危ない目にもあったに違いありません。

 

格闘技、ナイフ術もある程度つかえるところまで行っています。そこのところはちゃんと認識しないといけません。作者の文章が軽やかなので、この旅みたいなことが簡単にできるように思ってしまうかもしれないですが誤解です。注意しないといけません。

 

命懸けだから楽しい、命懸けだから命を、自他ともに大切にするのですね。「外部」に身を晒したからこそ、「世界」は姿を現したのでしょう。

 

途中、涙が止らない、笑いが止らない、恐怖が止らない、と、揺さぶられっぱなしです。

 

絶対のお勧め。