海辺の風景

海野さだゆきブログ

『非常宣言』ハン ジェリム 監督

ソン ガンホさん出演映画にハズレなし!

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ハワイ行き航空機がなんとバイオテロに襲われます。感染から発症までの時間は短く、乗客も搭乗員も対応にあたる行政も政治家も、瞬く間に追い詰められてしまいます。

 

映画は最初からやや粗目の画面、ハンディカメラなので、その揺れが不安をかきたてます。2時間越えですが、観ているだけなのに状況に追い詰められる気持になって、時間がたつのが速いのです。

 

くだびれたおっさんをやらせたら世界一のソンガンホさんは、例によって(?)奥さんや娘さんから相手にされない冴えない中年男で登場します。好きだなあ、この感じが。

 

今回は刑事役。ネットに上がった犯行予告に関して、子供からの情報提供がありました。部下は子供だからと相手にしなかったのですが、一応と確かめに行くあたり、実は優秀な警察官なのかな、と思わせます。で、その勘が当るのです。

 

もう解説は不要です。とにかく映画を観て欲しいと思います。

 

現在、誰もがスマホを持つことによって、情報をすぐに手にいれることが出来ます。それが「今自分が巻き込まれている事件」だったら、どういうことが起るのか、、、、そこがもう嫌というほど厳しく迫ってきます。

 

そして、こうした事件が起った場合に、社会は、世界は当事者である自分達をどう扱うのだろうか、、、、ということを想像してしまうのです。

 

あ、これで解決かな、と思っても、新たに「発見される」難問、その連続です。そのたびに改めて突きつけられるのですから、たまりません。

 

さて、こうした映画は、「こわかった」で終わらせずに、決断ということを考えるきっかけになります。決断に際しては「何を以てして」が一番問われるでしょう。

 

その昔『タワーインフェルノ』という映画が問いかけたことは、どれだけ生かされたでしょうか。。。。。

 

効率利益優先で強度が足りない構造物のために、あれからどれだけの人命が失われたでしょうか。。。。。。

 

僕は昔から皮肉で「安全第一人命第二」とくさしていますけど、この映画でも「誰の安全か?」が問われています

 

納得できる結論など出ないですけど、決断はしなくてはならない、、、上に立つ者のきつさは、映画の最後、海を見つめ、どこか穏やかなような、悲し気なような「元」責任者の表情にすべて出ているよう見えました。