海辺の風景

海野さだゆきブログ

『型破りマラソン攻略法』岩本能史 著

僕自身はマラソンはしません。なぜこういう本を読むかと云えば、職場で趣味にしていた人が「どうすればサブ3」と、世間話をしてきたのをきっかけに、走るというのは実際、どういうことなんだろう、と思ったからです。

 

話しかけてきた人は僕に本気で相談したわけでもないのは分かっていましたけど、トレーニングとしてスロージョグを続けていた僕は、走ること自体への理解を深めるとなんか面白いだろうと思ったのです。

 

『ボーン トゥ ラン』は極めて優れた「人間とはなにか」へのアプローチでもありました。本当に面白かったです。

 

で、この本ですけど、僕が知る限り、圧倒的に正しいです。かの「どうやってサブ3」の解答はここにあると思います。僕自身は高齢、かつ十字靭帯が「ない」という事情からトライできませんけど(笑)。

 

ただ、気になったのは、参考文献の表示がまったくない、「定点観察」という言葉で根拠を示していますけど具体的な方法や数字がない、とか、著者の感想でしかないような記述がある、という点でしょうか。これは編集の怠慢でしょう。これでは信頼性が怪しくなります。

 

最近のトレーニング理論、やらなにやらを読んでいれば、「あ、これはあそこに書いてあることね」とすぐに思い当たることなので、わずかな紙面を惜しんだ編集は残念です。

 

そして、文面が淡白なのがまた、読んでいてのひっかかりのなさを作っています。しかし、これ、理由は最後に分かります。著者はもうマラソンにあんまり魅力を感じていないのです。そう、「ウルトラマラソン」の世界にどっぷりの様子です。

 

それはおそらくは「いわゆるトレーニング」とはまったく別の原理がはたらく世界を見せるからではないかと想像します。著者もまた『ボーン トゥ ラン』が見せてくれた世界に魅せられた人なのではないでしょうか。

 

とまれ、マラソンを趣味にしている人はこの本がよきガイドになると思います。