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海辺の風景

海野さだゆきブログ

「ヒーローインタビュー」坂井希久子 著

阪神タイガースファン必読の小説。その能力の高さゆえに人を引き付けるものを持っていながら一軍半の選手生活を続けている野手。その選手を関係者が語るという形をとっています。

 

甲子園で試合がある時に梅田にいるとわかりますよ、阪神って生活の一部なんだって。そこが他球団のファンの方にはわかりにくいところかもしれません。ほとんどお天気の挨拶みたいに「阪神どやった?」ですから。

 

どんなに能力に恵まれていようとも、チャンスがなければ、そしてその数少ないチャンスをものにできなければ出番はないのがプロの世界です。スーパーマンみたいなひとばかりの中で一軍にいられるというのはとてつもなく大変なことです。

 

そうした思うようにならないこと、その象徴として阪神タイガースの一軍半の選手が語られます。語るひともまた、その思うようにならないことに人生が左右されています。だから阪神なんです。思うようにならない、その事はファンならばイヤというほど味わいますから。

 

この本、中日ファンで、名古屋飯をはじめ名古屋をアピールする仕事をなさっている大竹敏之さんがNHK-FM「松尾堂」で紹介してくださいました。なぜ中日ファンがって、作中に出てくるんですよ、ドラゴンズのベテラン左腕が。そうです、まさにあの方。その部分がまたいいんですよねえ。

 

話に湿り気が多いのは大阪ならでは、ですね。人生そんなもんやないか、ですね。人気球団でありながら案外読める阪神小説がないです。貴重な作品です。ファンならば途中で苦笑爆笑を止められない記述も満載。絶対のお勧めです。