海辺の風景

海野さだゆきブログ

『プロ野球死亡遊戯』中溝康隆 著 『巨人への遺言』広岡達朗 著

僕はどうにもあの「くたばれよみうり」というコールがしっくり来ないのです。まあ、「とっくにくたばっている」というお説もあるかとはおもいますが、球界のお笑い担当球団として、コールにはレスポンスが必要、つまりオチが笑えるオチがないコールだなあ、と思うわけです。

 

僕はあの寒い日、始発のバスに乗り込む寸前キオスクで買ったスポーツ新聞に「阪神タイガース 小林繁」という自筆サインのコピーを見た時にすべてが腹におさまりました。小林、男です。プロです。ですからその後の江川投手の鼻血だろうが、なんだろうが全く気になりませんでした。

 

つまり、僕はあの日でさえ読売巨人軍に何らの感情もなかったです。今もそれは同じです。太田選手が出てきたときに、やっと巨人軍に右の四番がと楽しみにしていましたし、その後は「なんで太田を出さないんだよお」って嘆いていましたよ、はい。いまは岡本選手が楽しみですよ。

 

はい、僕はタイガースファンですけど、すごい選手はやっぱりすごいの一言ですよ。先日、やっとドームで巨人戦を観ました、目の前の岡本選手はやっぱり「ケツがでかい」、感動しました。あの「西武の秋山選手」(今の秋山選手じゃないよ)が伊豆で自主トレしていたときに、同じホテルに宿泊してまして、朝、ランニングにチームメイトと出るところに出くわしましたが、いやああの「ケツのでかさ」は圧倒されました。それ以来、僕のよい選手かどうかの判断基準は「ケツのでかさ」なのです。

 

ずっとタイガースしかみていないと、他の球団のファン気質というのがさっぱりわからないのでして、唯一の例外は大学時代、同級生の石井君がスワローズファンで、そのぼやきが、なんともらしかったなあ、くらいの思い出であります。

 

ジャイアンツの迷走ぶりは知っていましたけど、こちとらずうっとそれどころじゃありませんでしたので(笑)、ジャイアンツファンがどういう気持だったのか想像さえしませんでした。しかし、分かりましたよ。

 

やっぱりなあ。みんな、特定の球団のファンである前に野球ファンなんですよねえ。そして、「人を応援するのが大好き」なんですよねえ。

 

俺はこの状況で何をどう応援したらイイんだよお。。。

 

そういう心の叫びですよね。仕事で疲れて帰ってきても、スーパーマンの美技を応援するだけで、すうっと疲れが消えて、ビールが喉を切り裂くのが痛快、それはどの球団のファンだって同じですよねえ。

 

ましてや、球場での応援となれば、ね。

 

なんか、プロ野球の選手って、どんどん俺たち庶民から遠くなってゆくきがするんです。通っていた大学の近くのそば屋に王ちゃんがよく来ていたらしくて、たまたま目撃した学生がはしゃいでいたのをなんどかみかけましたけど、王さんだって、庶民のヒーローだったんですよ。

 

野球がビジネスとしても、競技としても洗練され、高い技術や戦略を追求し、それを売り物にしていったと同時に、なんかこう単純に楽しめなくなっていると思うのです。

 

僕は大谷選手がすごいと思ったのは、「豪速球とホームラン」を見せてくれる選手だからですよ。これほどどかんとまっすぐ訴えてくれるものって、野球であります?やっぱ突き詰めると「豪速球とホームラン」ですよね、そうですよね、みなさん。

 

右打ちがウマイ、とか、プレートの踏み位置を変えているとか、ナックルカーブとか、内野安打とかですか?

 

おっと、「盗塁」も忘れちゃいけませんね。ジャイアンツの鈴木選手。福本さん以来ですよ、「あー、これで一点入るよお」って思わせるの。

 

「豪速球とホームランと盗塁」。常人には決してたどり着けない境地。それが僕らを野球ファンにしてきたんですよね。好きな球団の違いなんて、その共通部分からしてみれば微々たるものです。そうですよね。

 

スライダー多投すんなよ。シュートで勝負してみろっての。なんだよ、その「泳ぎながらも左手一本」って。俺たちが学校の廊下でやっていた「卓球野球」のテクニックじゃん。

 

とか。。。。

 

あぐー山川選手の、ヒデヨシ中村おかわり選手のホームラン。秋山選手のすごい守備範囲。源田選手のなんでもなくみえるすごい守備。菊地投手の伸びまくるストレート。ホームランでもポール際でぎりぎり入るとつまらなそうなホークス左肘中村選手。「正面で捕球」する今宮選手。おお、スーパーマンを生で目の前で観ることができる幸せよ。

 

って、パリーグばっかりじゃん。くっそおー、江越選手を四番に据えろ、俺の高山選手をかえせー!、ノーコンのどこが悪い、藤波投手の豪速球をかえせー!

 

球場ラヴァーズ』の石田さんじゃないけど

 

「私の好きにさわるな!」

 

だよね。人前で堂々と他人を応援させてくれよー!

 

はい。