読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

海辺の風景

海野さだゆきブログ

「温泉ドラゴン王国」全3巻 山川進 著 児玉酉イラスト オーバーラップ文庫

ライトノベル

極東の小国、ユ国は財政難に直面していた。旅の隣国研究者から自国の温泉が貴重な資源であることを知った王子は、温泉を目玉にした観光立国を思い立つ。隣国の妨害などで温泉立国はなかなか進まない。

 

古代ローマ人が現代日本の銭湯に触発され、という話のライトノベル版というものかな。ここで温泉は生体組織も変化させるほどの威力を持った魔法というべきものになっています。かの話と共通しているのは、温泉のもつリラックス効果で平和の実現を願っているという事でしょうか。

 

ライトノベルらしく、つまりねーよ帝国主義ですね、カワイコちゃんは次々に出てきますし、風呂ですから入浴シーン満載ですし、姉萌え妹萌えもロリータ趣味も全部つぎ込んでいます。それらはあくまで幕間的ですので、話の進行の邪魔はしません。作者自身が書いているように、エピソードのつながりもよくできています。ご都合主義も、人が良すぎるかもっていう程度で気になりません。

 

でも、何かが足りないんですね。なんでしょう。

 

僕は今で言うテンプレ、お約束とか、ご存じなんとか、とかいうのはとても大切な事だと思っています。それがちゃんとできるというのは相当の実力が必要だからです。わかっちゃいるのんだけどおかしい、とか、わかっちゃいるけど泣ける、とか、そういうのが娯楽の本道王道だと思うからです。

 

歌舞伎を観劇すると、すぐに分かるのは、分からないことがない、ということです。ではつまらないかというと、圧倒的に面白いのです。どこが?

 

過剰さなんです。例えばアクションシーンで笑えるんです。そこで冗談ですかって思う意外さで笑えちゃいます。登場人物は常識はずれはいないのですけど、どこか過剰さを抱えています。そこが見所になるんですよね。

 

今回、どの登場人物も悪くないんですけど、どこか過剰さがないんです。大袈裟ではあるのですけど。ライトノベルらしいキャラクタがそろってしまって、かえってらしくないという逆転現象ですね。これは難しい問題でしょう。

 

たぶん、素人の僕が偉そうですけど、例えば姉だったら、かの有名な姉を「引用」するくらいのことをやって丁度よいのではないでしょうか。アニメ史上最強の姉、と言えば。。。。。。とか。。。。大魔神を出すとか。。。。

 

あ、でも、読んでいて嫌な印象はまったくなく、読みやすいという美点はあります。きっと作者は気のきく優しい人なんじゃないかと。。。主人公みたいに。。。。