海辺の風景

海野さだゆきブログ

『星明かりグラフィクス』山本和音 著 が完結 全3巻

美大を舞台に繰り広げられる青春劇。などと言いますと、甘酸っぱいアレやコレと思い浮かべるかと思いますけど、この作品は違います。すでに経過してしまった、そしてキャリアも終ってしまった僕が言うと、なんだか「わかったような」ですけど、

 

社会に出るジャンピングボード

 

が描かれているように思いました。才能はある、でも社会でそれを生かすには欠点が大きい、そういう存在の吉持に対して、その部分は私が補う、私たちはふたりでひとつ、という姿勢を園部はとるのですが、実際に「仕事」を請け負う中、吉持は「自立」して行くのです。それを園部は見送るしかない、という苦しさを味わいます。

 

吉持がインターンとして飛込んだデザイン事務所での、「プロ」の姿勢、そしてそこで「プロ」言った言葉は名セリフだと思います。うなりました。はい。僕もそうだと思います。

 

そして、最後、園部が自分の価値に挑戦したいと受けた採用面接での質問への答え、これもうなりました。そうなんですよね、そう。

 

大学生活に意味があるとしたら、「このひとにはかなわない」と思える人に出会うこと、そして、その人に追い付けたら、です。

 

いいなあ、デザイン、あ、平面構成をしっかり毎日トレーニングしているだろうなあ、という絵、スピード感のあるセリフと展開、そして、ずっしりと重みのある美大生たちの「それぞれ」。

 

このまんがに大学在学中にであっていたら、3年の間、ほぼ引き籠もり状態なんてことはなかっただろうなあ、、、大学をジャンピングボードにすべき学生さんたちの多くがこのまんがに出会うことを願っています。

 

最高のお勧めです。