今月の演奏会はなんとコントラバス。先だってのチューバといい、まずこの日本でリサイタルが期待できない楽器。それも若手演奏家。この会は本当に貴重な、そして重要な演奏会を毎回のように開いている。そして演奏は毎回期待を裏切らない。
大型の楽器、それも弦楽器、演奏は全身を使うし、運搬、メインテナンスも大変である。そして普通は「土台」の演奏しかしない。楽器として本当はどういうものなのかまったく経験したことがない。腐っても同じ低音楽器をやる者として、期待満々。
これがコントラバスなのか!現代の弦楽器演奏はすざまじいレベルだ。鬼のポジション移動!コマ近くまで普通に使うという音域の広さ!もう圧巻。
そして、それがテクニックのためにあるのではない、音楽のために普通にある技術なのだ。
確かなアルコ、綺麗なビブラートが実はしっかりかかっているピチカート、すごい、そして綺麗な音が湧き出てくる。これがどういう楽器なのかなのということはすでに問題ではない。どういう音楽を奏でるのか、というところの演奏。当たり前なんだけどね。
フレットレスベースでぷにぷに、なんて演奏もう二度と聴かないだろう、僕は。ジャズの人のなんだかワケわからないソロなんてのも二度と聴かない。
楽器を演奏するのじゃない、音楽を奏でるのだ。
一応腐ってもベース奏者でこれを聴けた僕は、本当にラッキーだ。聴けなかった人は残念でした。
音楽が好きならば、是非若い演奏家を紹介する活動を続けているこの会の演奏会に来て欲しいなあ、と思う。
で、目の前ですごい演奏を聴いた僕は、ちょっとまたベースでバンドに戻りたくなった。でも、しばらくしてくらーい気持になった。もう僕のバンド演奏活動は終わったのだ。もうバンドは沢山。静岡のアマチュアバンドEX-GROOVE、42才の若さで亡くなった平澤さんのことが僕にまだまだベース演奏を促すのだけど、なんか疲れちゃったのだ。穴蔵みたいなところで煙もうもうの中で演奏するってのが。
もし、人前でやるとしたら、心残になっているいくつかの曲をひとりでやろう、そう思った。禁煙のライブ会場でね。