原案 KEMU VOXXというのはどういうことかと思ったら、ミュージックビデオなんですね。驚きました。
この小説、随分前から読む予定に入れていたのですけど、やっと読みました。僕はSFと感じました。小説では大昔からある「迷い家」とか隠れ里伝説的な場所として「見えない」は設定されています。これを認知のレイヤーの問題とか観測者の問題にすると『青春ブタ野郎』ですね。
60過ぎのじいさんが青春時代にこういう「俺がいない世界」を考えたりしたかと言えば、
年中長期入院児童、生徒だった僕はまさに学校にも家にもいなかったので、「俺がいない世界」というよりも
「俺しかいない世界」
だったような(笑)。。。。。病院というのは本当に隔離された世界なので。
主人公は「元の世界」に執着があるようですけど、僕はそもそもその「元の世界」がどうなっているのか全然知らないんです。学校に籍はありますし、家は確かにあるんですけど、ずっと不在なのでどうなっているのか全然知らなかったのです。
なので、学校や家に「復帰」した時は
ほとんど異世界召喚(笑)。。。。
学校とかで身につけるであろう処世とか、家族とのやりとりで生じるであろうもろもろの感情や思考を知らないので、
そうか、、、そうなっているわけか、、、と外国の習慣を学ぶようでした。病院の世界観とは全然違いますからね。病院は圧倒的に大人の世界ですし、生産性とか協調性とかまったく関係ないので(笑)。世渡りが上手くても、空気が読めても病状は改善しませんから。。。僕の場合は。
簡単に言えば主人公は自分の所属社会と距離を置くことで、距離ができたことで、始めてそことコミニュケイトできるようになったわけです。カワイイ子には旅をさせろの意味はそこでしょう。
主人公が逃げ込んだ世界は消失しましたけど、もしいわゆる世間との間に「通訳」が存在したら状況は変っていたように思います。彼は自分の経験を生かして、そういう役割を担うってのもいいかもしれないよなあ、と思いました。
見えない世界の描写はとても面白くて、そこを発展させたら面白いのでは、と、このまま終わっては勿体ないなあ、とも思いました。
蛇足
夜、病院を抜け出してちょくちょく焼き鳥屋に行っていた大人たちは、きっと『異世界食堂』気分を味わったのでしょうね、、、当時、病院食は本当に美味しくなかったので、、、