STEAMで「GRIS」をやりました。「風の旅人」に影響を受けた横スクロールのゲームです。テーマははっきりとしています。「喪失と回復」。
最初、少女が「声」を失うんです。そこから彼女の旅が始まります。これ「内なる旅」なんですね。ゲームとしてはパズルですね。画面が小さいとヒントを見逃してしまうかもしれません。
グラフィックがとても綺麗です。それだけでやる気が出ます。途中でくわす困難さは、彼女の抱える問題が象徴化されたものだとすぐに分かりますので、自分がプレイヤーなのですけど、おいがんばれ、ここでめげるなよ、と彼女を励ましてしまうのです。
ただ、途中からちょっと「長いなあ」と感じる事があります。ゲームとしての課題が主題との関連性が見えず、ひたすらゲームとしてクリアしてゆくって感じになると、辛くなります。でもはやり素晴らしいグラフィックに釣られてがんばってしまうんですけど。
終盤、彼女が「声」を取り戻すところは感動しました。おおお。でも、それで終りではないんですね、このゲーム。だよねえ、プラスマイナスゼロで終ったら、達成感ないですものね、苦労した甲斐がありませんから。
最後、横スクロールでは難しいでしょうけど、彼女の「世界」が広がった感じを絵として表現してくれたらもっと良かったかなあ、とは思いました。「風の旅人」は3次元でしたから、そこはばっちり表現されていましたね。終った時に「指輪物語」の読後みたいな充実感がありました。このゲームはそこまでのものはありませんでしたけど、上質なセラピーを経験したようなものが残ります。
色々言いましたけど、これは傑作です。お勧めします。SWITCH版もでるみたいですし、多くの人にやってもらいたいです。