海辺の風景

海野さだゆきブログ

『うつ病九段』先崎 学 著

故米長先生の最後の内弟子であり、その軽妙なお話ぶり、エセーが僕も大好きな先崎九段が、まさかこんなことになっているとは全く知りませんでした。

 

先崎九段の著書は何冊か持っています。もちろん将棋関係の本です。その軽妙かつ端的的確なその文章で綴られる病気の始まりから途中経過、治癒の過程は、ぞっとするほどリアルで、もう夢中で読み進み、深夜に最後のページをめくる頃には、よくぞここまで書いてくださったという感謝の気持でいっぱいになりました。

 

この本はケースワークに携わる、もしくは関係する人の必読書です。間違いありません。僕もうつ病の知識はありました。しかし、当事者からここまで詳しく話を聞くなどという機会はありませんでした。

 

先崎九段はもともと将棋のプロとして必須の自己を客観的にみる力がありました。そこに文章力が加わり、轟音が聞えてきそうな程の説得力で迫ってきます。

 

そうなんです。うつ病は脳の病気なんです。その実態は実感としてはわかりにくく、読後自分がいかに無理解だったか知りました。

 

当事者はどういうことがどんなふうに辛く苦しいのか、本当に伝わってきます。

 

そして、精神科医であるお兄様の言葉の的確なこと。身内だから言える部分があると思いますが、それが、そこが実に急所なんだということをおっしゃるんです。

 

絶対のお勧め。誰か翻訳して海外にばーんと紹介して欲しいです。