海辺の風景

海野さだゆきブログ

『蜜蜂と遠雷』恩田陸 著

どうも音楽ものって、納得できるものがない、もしくは少ないと思っていました。小説、まんがの分野での話です。まんがでは『30センチスター』がとっても良かったのが大発見でした。小説、ラノベではもちろん『脱兎リベンジ』すばらしいです。小説ではなんかなかなかなかったのですけど『羊と鋼の森』が良かったですね。

 

実際、楽器をやる、作曲をする人間からしてみても、読んで楽しかった作品です。で、この作品が評判が良いので期待してページをめくりました。

 

ピアノ・コンクールの話なんですね。亡き中村紘子さんの『チャイコフスキー ・コンクール ピアニストが聴く現代』がむちゃくちゃ面白かったのを覚えていたので、とても期待して読み進みました。

 

とてもキャラの立った登場人物たちの「濃い」人間性にぐいぐいと弾き込まれる感じで、どんどん読み進みました。いや面白い。

 

と、なんか僕に既視感が生じてきたのです。あれ?なんだろう、この「どっかでみたような」感じは。。。。

 

3次予選まで来たときに浮かびました!

 

これ『エースをねらえ!』だ。。。。。

 

天然の天才。その天才を育てた師匠はいまはもういない。。。。。そして、その天然の天才に触れることで、何人もが覚醒してゆく。。。。。

 

に、似ていませんか?

 

もちろん、強引、こじつけですけど、僕の言う「同心円構造」だという点も同じなのです、といいますか、そこが同じなんですね。

 

最初は違いを際立たせていた登場人物が、亡き師匠の導きで覚醒した天才と係わることで、次第に差異が吸収され、その天才を中心とした人間関係を形成して行く、っていう。

 

みーんなこの天然天才に係わることで、そっちを向いちゃいますよね。反発していた人も、仕舞にはファンになっちゃう。岡ひろみって、そういう存在でしたよね、みなさま。

 

と、いうわけで、いるじゃないですか、藤堂くんもお蝶夫人も蘭子も(笑)。

 

で、僕には最後のページに「岡、エースをねらえ」って書いてあるような気がしました。

 

あ、作品はもちろんそれ自体で楽しかったです。僕は『エースをねらえ!!』と重ねることでもっと楽しめました。はい。