これは全くの盲点でした。この年になって、目からうろこ、です。
還暦が近くなって、目から鱗はいくつかありました。
- 筋肉
- 皮膚
- 声
どれも、あまりに当たり前すぎる存在ゆえに、無視も甚だしい、という共通点があります。筋肉や皮膚って体の大きな部分を占めているのに、だれもその重要性、人生を左右するほどの存在であることを教えてはくれませんでした。どちらかといえば、軽んじられていました。
声。僕らは自分の声で他人に色々なことを伝えているのにもかかわらず、そのことについてはまったく無自覚でした。これでも一応高校生の時には合唱部。声については普通の人よりも訓練をしてきました。しかし、それでも、僕は声について本質的な考察をしたこともなかったのです。技術オンリーだったと思います。
ただ、幸いにして、「伝える」ということについては自覚的であったので、「まったく無自覚」ではなかったので、この本を読み始めて、すぐに文字通り、わしづかみにされました。
声は本当にその人の精神状態を表現してしまいます。だから合唱で僕は部員の精神状態について、とても気を使っていました。それはもちろん、自分のそれにも。
わかっていたはずなのに、無自覚だったのですね。声に関する技術を学んだ人は、この本で、本当に「真っ青」になると思います。そうか、そこが、そこが「本質」だったのだ、と。
あまりにも真実な事柄ゆえに、あまりにも受け入れられていない。なんて事でしょう。僕らは「伝わる声」を持つべきですよ。それは技術的に可能だし、著者の言う通り、自己理解、自己肯定に直結し、僕らの人生を豊かにしてくれること間違いないしです。
老齢になって知ったわけですけど、知って良かった、読んで良かった、こころから思いました。
人付き合い苦手。とか、ここにその出口はあります。すごい本です。