ねーよ帝国主義による一種の学園異能バトルもの。長かった。おもしろくないのかといえば、面白いのですけど、なにしろずっとライトノベルを読み続けているのでいささか食傷気味になっていまして。
相変わらず、世界の一大事なのにご近所で物事が進みますし、行政機関などはまったく登場しません。じゃあ、いい加減な作りなのかといえば、読み進むと世界観がちゃんと構築されているのがわかります。つまり、特異な事象に関してちゃんと理屈がついているんですね。
そういうSF的設定を最初から考えてあったようです。なるほど、そういう骨格がしっかりしていたおかげで、荒唐無稽な、という印象は読み始めから感じることはありませんでした。
ただ、どうなんでしょう。世界の一大事がご近所で済むというのは。
ただどうなんでしょう。読んでいて思うのは、この小説の一番生き生きするところって、女の子たちとの他愛もないやりとり、どたばた、なんです。そっちが本筋みたいだなあ、と思いました。
女の子の行動は、特にとりついている幽霊の彼女の行動は、自然です。ああ、いるいる、こういう女子って、思いました。たとえば、主人公がピンチの時に、「あたしがついているからだいじょうぶ」っていうんですけど、具体的なものはないんですね、そういうのって、よくありますよ、実際。その一点、「ねーよ」ではないので、そこは評価できるなあ、と思いました。
でも、やはり、世界の一大事がご近所の高校生で済んでいるというのは、どうにも無理がありますね。世界の一大事ですから、各帝国主義国家のみなさんが黙っていないと思うのですけど。はい。
まあ、あとはお約束ですけど、主人公のもてまくりぶりも。その上、奏ちゃんですか、とびきりの美少女で、かつ戦闘能力が高いが、主人公にこれでもかっていうくらい献身的なんですね。
まあ、奏ちゃんが「もうあたし、無理だよ」とか、生身なせりふを吐いたりすると、ねーよ帝国主義 は成り立ちませんけど。僕はそういうのが好きですけど。
ねーよ帝国主義にちょっと硬い下敷を与えた、うまいブレンドの作品ですね。