海辺の風景

海野さだゆきブログ

『阿修羅ちゃんと修羅場った』秀河憲伸 著

今日のユイコさん』は好きな作品です。作者のデビュー作だったんですね。次回作を楽しみに待っていました。なかなか「次」が聞えてきません。大丈夫かな。。。次が出なくてそのまま終ってしまう人も沢山いるし。。。。。と心配でした。

 

ついに出ました。待ってましたあ。

 

べたな「落ちモノですね。この「落ちモノ」という言い方はある方のを頂いたのです。映画『天空の城ラピュタ』のように、女の子との出会いが偶然、かなーり都合の良い偶然である物語を指します。

 

僕はべたなものが好きです。ある程度そのジャンルを知った誰もがその後の展開を予想できる作品を「べた」と呼びますが、そのべたでなお人を引き付ける力のある人が実力者だと思っています。

 

奇妙奇天烈、唖然とする展開、そういうものも好きですが、一種の小手先とも言えます。それも好きなのですけど、読み返す気持になるかどうかはわかりません。トリック、ギミック一発勝負もよいですけど、何度も読み返すか、ですね。

 

よいです。まあ、いきなり現れた「神様」に主人公があんまり驚かないのは、この作品の企画段階でかなり悩んだというなごりでしょうか?そこをあんまりやると哲学的な「神とは何か」になってしまうので、さらっと行ったのでしょう。

 

で、主題はそこにないですよね、この「等身大」の神様は、近所の女の子と言ってよいですよね。

 

男の子にとって、近所の女の子的であれ、女の子は「神様」になるんですよね。「妹の力」ですね。

 

男の子がはまる閉塞感。実際、行き詰まりなんでしょうけど、それを「妹の力」で打開して行く。王道です。はい。

 

「やーれーばでーきるよできるよやーればー」っていう歌が聞えてきそうですね。

 

もしかしたら難産だったかもしれない二作目。今後も期待しています。