海辺の風景

海野さだゆきブログ

阪神ファンが観た6.8ジャイアンツ対ライオンズ

野球は楽しいので、阪神以外の試合もよく観ます。嫌いなチームなんてものは僕にはありません。どこに所属していようともスーパーマンたちのプレイはやはり素晴らしいからです。

 

去年も同じ球場で同じカードを観てました。チケットを買った時にはまさかこんな位置づけの試合になるとは夢にも思いませんでした。まさに異様な雰囲気とはこのことでしょう。

 

生で試合を観ていないとわからない「雰囲気」みたいなもの、そしてマスコミなどがあれこれいうのとは全然違う「実際」が目の前にあるのですけど、どっちかのチームに肩入れをしているとやはり「外野情報」に目が曇りがち。こういう「観戦武官」みたいな立場での観戦は実は僕はかなり好きです。

 

西武ドーム(ころころと名前を変えるので僕はこう呼びます)は、山の中の「半分ドーム」なので、かなり自然条件の変化に左右されます。この日は湿気がなくて、こういう日は球がよく飛ぶんです。カブレラの180m弾もこの球場ならでは。ちなみに僕、その場外ホームランの時、外野で息子と寝転がってまして、自分の真上を通過した打球にただ唖然としました。はい。。。。

 

あと、この時期だと「西日」が結構気になるレベルなんですよね。まあ、マリンスタジアム程ではないですけど、まぶしいですよ、三塁方向からの夕陽。

 

『球場三食』( 渡辺保裕さんの快作)に敬意を表して、水餃子、牛肉串にビールを買って内野最上段の端席へ。オーダー発表をみてびっくり。

 

「これジャイアンツは空中戦に持ち込みたいわけ?ここでは無理だよ、空中戦ならばホーム圧倒有利じゃん!」

 

これは「谷風」が吹く地形そのまんまの球場の形が影響しているんです。行った人は内野席の階段の長さにうんざりするでしょう?。トイレ行って戻ってくると誰も息切れてますよね(笑)。この地形的な条件、風、温度差、などを考慮に入れてプレイするのはマリンスタジアム同様ビジターには難しいと思います。

 

この日のホームランもそうでしたけど、おかわり中村選手のホームランも、多くはポール近く。それも両翼。僕は「両浜風や」って思ってますけど(笑)。なんか、ホームランじゃないみたいな角度のフライが外野近くで浮き上がるように伸びる感じです。バックスクリーンまでは行かないだろうって、見ていると入ってしまう感じです。

 

秋山選手のコンバットマーチじゃあないですけど「勝利を呼び込む風」が、独特の風があるんです。それはセのチームには分からない部分なのかなあって思いました。

 

たぶん、ジャイアンツの飛ばし屋のみなさんは打撃練習で「今日は飛ばない」って思ったのでしょうか?でも、この球場を知るファンでも逆に今日は飛ぶって思ったはずです。素人なので推測ですけど、上から強く叩いて角度をつけても上がらない、割合と非力にレベルスイングすると「勝利を呼び込む風」にボールが乗る感じです。

 

ラジオで谷繁さんが、浅村のフルスイングについて「なにもそこまで振らなくてもって思うくらい振る」「西武時代の和田さんのスイングには思わず笑っちゃいました」と。まあ、おかわり君もそうですけど、あれは「フォローが大きい」ってことじゃないかと思うのです。それはたぶん球場の特性上、そうするとよく「風に乗る」からではないでしょうか。。。。

 

さて、ジャイアンツの強打者のみなさん、飛ばないのならばヒットの連打勝負?でも、走れない選手ばっかり、小技のない、それも右ばっかり。。。。。おいおい、どうしてしまったの?これじゃあ、なあ、、、、と。思って2杯目のビール飲み出したあたりで試合はとんでもないことに。。。。

 

で、連敗中、それも「あのジャイアンツが」なので、まあ色々な人が色々なことを言うんですよね。V9時代の死闘(お家騒動を含みます)、暗黒時代を知る阪神ファンジャイアンツの連敗を結構気にしているのではないかと。これは色々な因縁があって、どうしたってジャイアンツのチーム事情を気にする癖がついている阪神ファンならではかもしれません。違いますかね。。。

 

僕は東京で生まれたので野球少年時代前半はジャイアンツしか見てませんでしたし、もともと嫌いなチームというものがないので、「くたばれジャイアンツ」とかいう応援、野次をしたことはないです。

 

思えば、松井がすざまじい慰留条件を蹴ってNYに行ってしまったあたりではなかったかと思うのですけど、応援席から「くたばれ」が聞えてくると、「本当にくたばったらどうすんだよ」って思っていました。で、本当にその兆候が出てきてしまった今、プロ野球どころか、野球ってジャンル自体の問題の最先端がジャイアンツで「発病」してしまった、そう思うんです

 

狼少年言動ではないですよ。ジャイアンツのwebsiteみてみてください。投手だけで育成を含めてこれだけの選手を抱えているんですよ。他でできます?ホークス?いえ、いえ、黎明期から80年の歴史、大都市東京、そういう条件を考えたらやはりプロ野球の、ひいては野球の代名詞なんですよ、ジャイアンツは。

 

東京のど真ん中で主催ゲームは少ないときでも2万以上動員できるんです。すごいです。

 

普通に就職先としてジャイアンツを考えてみてくださいよ。一般業種で言えば入社即部長就任みたいな条件ですよね。支店長。ブロック部長。いやあ、どのみちスーパーマンクラスです。

 

中学生でジュニアで名前があがってくるようなひとがごろごろ。でも、野村さんが相当前から懸念していたように、「お山の大将だらけ」で「人間教育」がどこかにいってしまったら。。。。って、僕の言葉で言えば、

 

スーパーマンたちは「天才型」なので、少年野球時代から頼られることはあっても、頼ることをしてこない、故に「助けてもらう」経験が少ない、故に「人を助けることができない」。

 

歩のない将棋は負け将棋。勝負は主役とわき役がきっちり機能してこそ総合力で勝てる、わけですよね。超一流でも3割しか打てない、超一流でも20勝はできない。3割打者を3人そろえたら9割にはなりませんし、20勝投手を4人そろえたら80勝できるわけではない。かえって正常に稼働する確率は下がります。

 

0.3+0.3+0.3にはならず、0.3x0.3x0.3になりがちです。どうしてでしょう。だって、ワンマンアーミーみたいなひとばっかりで「助け合い」「補い合い」がないので、マイナス面が足し算になることはあっても、プラス面が相乗効果をあげることがない、からです。

 

かくして「四番バッターばかり」になった時にジャイアンツはまず最初の「崩壊の前日」をみせてしまいました。それを反省した清武体制は、どこかのチームのお家芸だった「内紛」で消し飛んでしまい、「崩壊の始まり」にスイッチを押してしまいました。

 

でも、これって、高校野球でとっくの昔に始まっていましたよね。「野球留学」なんて、大型補強と同じですし、勝利至上主義のレギュラー偏重、レギュラー選手酷使も唐の昔。で、その強豪チームに入るべく存在する中学生チームがそれをまったく同じように真似する。

 

結果、典型的なスーパーマン、ワンマンアーミー、天才型が、少年期から「名門」巨人軍を目指す、と。。。。。

 

言われて久しいですよね、アメリカみたいなリトルリーグの選手起用を少年野球ではやろう、とか。でも、今年の選抜高校野球での21世紀枠へのブーイング発言みたいに、「教育段階でのスポーツとはなにをすべきなのか」はどこへやらの勝利至上主義跋扈は相変わらず。

 

思い出すのは、亀田兄弟が話題になっていたときに、あるタレントさんが、「非常識ですよ。今の日本、高校出ていないとどうなるか。彼らだってこれからの人生の方が長いんです。ボクシング後の彼らは苦しむことになる。それが分かっていて、親がそれやります?」と言っていました。

 

Bリーグで、現役選手が公認会計士資格をとったとか。必要ですよ。そうした「一般社会で生き残る技術」。

 

超一流選手でもプロ野球で10年やる人はほんの一握り。その後の人生の方がはるかに長いのです。ワンマンアーミーみたいな生き方しか知らない人はどうなるんですか?球界を代表する選手だった人が薬物につまずき、とか、現役選手の賭博とか、崩壊は進んでいますよね。

 

若い選手はおやじたちの勝利至上野球に使い捨てられないように、注意深く生き抜いて欲しいです。

 

まあ、「知人」とやらに汗水たらして稼いだ数億円を騙し取られて随分と高額な社会勉強をしてしまった人が監督をやっているチームは、少しは「人間教育」を口にしてきているようなんですけど、野球エリート揃いのジャイアンツ首脳陣はどうなんでしょう?まあ、タイガースも「天才型」の「守備に興味がない」という若い選手を、自分のピッチングにしか興味がない「天才型」の若い選手をどう「教育」するのか、ファンとしては見守るしかないです。

 

試合に戻りますと、ライオンズはとにかく「進塁」の野球でした。守りは源田選手が固定されて隙がなくなりました。去年までとは大違い。打撃ではとにかく進塁打、逆方向。それしかしないのです。メヒア選手だって例外ではなく、どうみてもセンターから逆方向しか狙っていないですね。あの「ラッキーな」ボテゴロだって、その姿勢が生んだ「必然」でしょう。いやはやもう呆れるくらい徹底していました。

 

クリーンアップに回せっていう野球ではないです。進塁打を積み重ねて得点するというものですね。先頭は出塁、出塁したら進塁。明確な方針です。分かりやすいし、打撃があんまり得意でない選手でもヒットではなく「進塁」なら俺でもやれるって気になりますよね。

 

思い出すのはバレンタイン監督時代のロッテマリーンズ。里崎さんによれば「みんなで2塁打を打とう」という明確な方針があったそうです。道理で、ね。あの屈辱の日本シリーズでそれは思い知らされましたよ(笑)。

 

源田選手のホームランも、掛布さんの言うところの「ヒットの延長線上にオーバーフェンスがある」ってやつです。逆方向への犠牲フライが「勝利を呼び込む風」に乗っただけのことです。辻監督はバレンタインさん同様の方針をチームに浸透させたのでしょう。

 

対して、ワンマンアーミーが連なるジャイアンツは進塁打が出ません。さすがに天才坂本選手はあり得ない体勢で三遊間に転がして進塁を実現させましたけど、やっぱり「ひっぱり」なんですよね。

 

なんだか「なんとかしようとしている」で、終っている感じでした。全部。その「なんとか」を明示するのが監督、コーチじゃないのかなあ。。。。監督が「なんとか」と言う時点で戦闘終了でしょう。

 

歴史的な連敗記録更新ということで、前にもまして色んな人が色々なことを言って、この僕も同じなんですけど(笑)

 

僕は、ジャイアンツは先頭に立っているがゆえに、ここ何十年もの、プロ野球を頂点とする少年野球から高校野球、社会人野球を含むシステムの問題が形になっただけ。そしてそのシステムは崩壊の過程が進んでしまっていると思います。誰も、現時点でこれを止められる人は現れていません。

 

岡田さんの30チーム1リーグ制も良いかもしれません。が、実現には現在の球団が「ひも付き」ではなく、自立した事業体になる必要があります。その意味では独立リーグに希望は残っていますが、どうなんでしょう。

 

阪神ファンは今でもグッズ購入で、アイドルグループのファンみたいに「買い支え」している感じですけど、本当に親会社から離れた場合、どれだけの人が例えば年間会費10万円とかで買い支えますかね。大阪の企業たちがどれだけスポンサーになってくれますかね。僕が生きている間に真の「大阪タイガースは実現するでしょうか。

 

まあ、ジャイアンツはまずは自前の球場を建設運営する団体になって欲しいと思います。そこが日本の野球振興の中心となって、アマチュアからなにから1年中野球の試合が行われている場所になっていたら、真のボールパークになっていれば、と思います。

 

全レベルの野球に責任を持つ球団に変身して欲しいですよ、ジャイアンツには。もちろん、タイガースにだってそういう姿勢は欲しいですけど、まずは先頭切って「東京ジャイアンツ」に生まれ変わって欲しいです。

 

ベンチ入りした選手の全員出場、複数ポジションできるオールラウンダーをそろえたチーム。監督、コーチの「審判資格習得義務」。などなど、リトルリーグがグレードアップしたような、そんな野球。そこでは「連携」だけがある美しいプレイが見られる。。。。かな。