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海辺の風景

海野さだゆきブログ

『恋愛3次元デビュー』カザマアヤミ 著

サブタイトルが「30歳オタク漫画家結婚への道」とあります。まあ、まんがに純粋培養されたような女性が人生の今後に危機感を抱いて、パートナー探しをする、というお話です。

 

目立つエピソードだけを取り出すと、あり得ないようなことですべて埋まっているようですけど、全体からすると普通に通過するようなことを通過し、乗り越えるようなところを乗り越えていったと思います。

 

他人の人生を覗き見する、それを肴におもしろおかしく楽しむというのは、これまた普通にある娯楽ですよね。僕も十分に楽しみました。ただ、ご本人たちが言うほど変っているとは思いませんでした。

 

人は今までの環境から掛け離れたところで何かをしようとすれば、本人もびっくりするような失敗をしますし、その一生懸命さが第三者には笑いの種にもなるでしょう。

 

僕は彼女、作者さんですね、はまんがを仕事にすることで実はすでにすべての準備ができていたのではないかと思うのです。

 

ひとりよがりでは漫画家にはなれませんよね、そもそも。ひとりではまんがはなりたちませんし。商業誌のレベルならば、編集者との共同作業でしょうし、リテイクをくらいまくりながらも「次の手」を作り出して、「注文に応える」ということをずっとずっとやってきているわけですよね。

 

作ったネームがだめでも、他人のせいにして終りってわけにゆきませんよね。次を作り出さないと明日はありませんよね。

 

結婚生活も、生活ですから、次から次に起こることに対して、あれやこれやと次々に手を尽くしてゆくことですから、同じです。他人のせいにできません。ましてやパートナーのせいになんてしたら、

 

そもそもそいつを選んだのは誰だよって、自分に跳ね返って来るだけですから。

 

自分の失敗として受け止め、次を繰り出す。同じです。

 

なんか、漫画家という普通じゃない仕事とか、女子校まっしぐらとか、普通じゃない部分が面白さとして読まれているのならば、それは違うように思いました。

 

それこそ「普通の」会社勤めのひとたちより、ずっと結婚生活に必要なものが鍛えられてきていたのでは、と僕は読みました。彼女はそれこそ読者の楽しみという「目に見えない」注文に応えて来たのですから。夫婦である、パートナーである、という「目に見えない」ものに対する準備は整っていたのでは、と思いました。

 

この作品と同時に、過去にとらわれ、自分にとらわれ、自分も未来も「曲げない」で、苦しい境遇になった男女のまんがを同時に読んだので、こちらのまんががとても健康的に思えたのでした。。。。

 

なかなか良い作品でした。