海辺の風景

海野さだゆきブログ

「ガンパレードマーチ2K未来へ」第4巻 榊涼介 著 きむらじゅんこ イラスト

小説ガンパレの最終巻。あとから来たファンである僕は榊ガンパレこそガンパレなのです。なにしろまだゲームの方はやり終えていないどころか、やりはじめの段階なのです。つまり、僕は小説としての面白さでずっと読んできたわけです。

 

再び九州を舞台にした戦いはし烈をきわめ、本当に絶望的な状況になります。政治状況が一変、軍が動けない。そもそも国内には戦争を続行できるだけの資源がなかったのでした。5121小隊は「詰み」寸前。

 

ページがもう終わろうとするのに事態は悪化の一途。どうなっちゃうのだろうか。そう思ったのです。読んだ方はみなさんそうでしょう。

 

終り方に関しては、僕はあれで良かったのではないかと思います。露骨な打ち切りだと思う方も沢山いらっしゃるようですし、実際うちきりなのでしょう。

 

ご存じのように、ガンパレは先の戦争が幻獣侵略によって、突然終結してしまった、という設定になっています。つまり、どういうことかと言えば、この話は「もうひとつの戦後」を描いているということです。

 

SFにありますよね、日本が戦勝国になった場合どうなるのか、という思考実験。それとは全く趣きを異にします。榊さんは先の戦争が中断したという設定を、「戦前戦中戦後は連続している」という風に読んだのだと思います。

 

あ、それは僕の考えなんです。同じように考えている人もいます。戦争をはさんで日本は変ったと考える人もいますけど、僕はほとんどすべてが継続したのだと考えています。まあ、このあたりはここでは突っ込んだ話はしません。

 

小説にもどりましょう。

 

学兵という制度は、同じものが実際あり、多くの少年兵が死にました。アメリカの対日姿勢なんて、それこそ今まさにその通りの状況ですね。あげればきりがないです。

 

小説ガンパレは、もし現在の日本が戦争に突入してしまったら、いかなることが起こるのかということを、先の戦争の実際を参照しながら僕らに示しているのです。そう思います。

 

では、5121小隊とは、今の僕らの何に相当するのでしょうか。それを考えながら僕は最終巻を読んでいました。

 

国内に行き詰まりがあると、政治家は必ず国民の目を「外」に向けようとします。それにひっかかってはいけません。特に戦争では、国内事情がものすごく拡大されたような状況になります。戦争は状況を変えたりしません。よりその傾向を加速させます。いま、国内の行き詰まりを問題にして行き続け、その解決に我慢強く取り組み、未来へ希望がもてるようにしたいものです。