海辺の風景

海野さだゆきブログ

「太陽で台風2」はむばね 著 岸田メル イラスト

「ねーよ」と5回つぶやいたところで、ふと思いました。

 

この「ねーよ」の部分は「そうあって欲しい」ということなの?

 

この華という女の子は、とにかく自分の気持に正直に行動します。躊躇がないのです。とにかく積極的。そうなの?女の子に自分の気持をばしばし口にしてほしいのかなあ?、正直に行動して欲しいのかなあ?

 

でも、それって、好意限定でしょ?

 

と、思う読者を先取りしてなのか、後半トーンは一気に真っ黒に。まさに暗転。

 

ネタバレだけど、このストーカー事件は、じゃあストレートに好意を口にしたり、行動したりしてよいのかどうかを投げ掛けている、のね。

 

そして、主人公が貫いてきた「ヒーロー」についても投げ掛けている。うーん、やるじゃないの。これ、自己批判ですよね。

 

主人公は一度「死んだ」と思った方がいいですね。この「死」は、なんか色々な意味を持っていると感じました。某心理学的に言えば、「象徴的死」ですね。

 

「ねーよ」と、いささかあきれつつ読み進んだ作品ですけど、なかなか、面白かったですね。

 

「この人と生きて行こう」

 

いいじゃないですか、「好き」っていう少年ぽさはそこにはもうないのです。30年位その気持でいるとね、「どっちかが死ぬのを看取るんだよね」になるんだよ。。。。って、若い人には一応言っておきますね。