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海辺の風景

海野さだゆきブログ

ライトノベル読書記

ライトノベル

時々まとめて読んでいるライトノベルの感想を簡単にまとめておこう。内容さえすぐに忘れてしまうが、それももったいないと思えるので。

『妹がスーパー戦隊に就職しました』大橋崇行スマッシュ文庫

色で識別される5人とか3人とかの正義の戦隊の番組は未だに続いている。最初の『ゴレンジャー』から生活臭はあったが、その活動費はどこから出ているのか?という突っ込みはある程度世の中の仕組みを知った時点で必ず出てくる成長期ギャグみたいなものだろう。

ここでは問題解決にたいして行政が出す褒賞金を元手に会社組織として運営されているということになっている。なので主人公は係長クラスみたいだが、申請書類やらの作成に追われている。

主人公たち、悪の組織が発揮する特殊能力に関してはシュタイナーが援用されている。そして本家の戦隊ものがかなりの割合で取り扱う「悪とは何かという心理的な問題」が一番の解決すべき問題として取り組まれている。

そこに「妹」をはじめとするライトノベル独壇場のハーレム設定が織り込まれている。

という盛りだくさんなので470ページを超える厚さの大作になっている。

が、心配無用である。サクサク読める。それがライトノベルの利点だ。しかし、最後のヒロインの正体には大笑いした。それでいいのだ。僕はこういうまじめに馬鹿らしいことをやる作品は大好きだ。

 

『イモートオブザリング』乙鳥形奈 著 スマッシュ文庫

スマッシュ文庫の「妹」シリーズだとか。2つ読んだので、あとはゾンビとウルトラマン。タイトルがまんまなのでどういう話になるかと妙に心配だったが、主人公と妹が背が低いのと拾った指輪に魔力がある、という点くらいが、かろうじてかすっている程度で、本家とはほぼ無縁。

でも僕はこういうヌルイのが好きなんです。どうにも。いいんです。「カワイ子ちゃん5人出しとけ」という業界の掟さえクリアしていれば。

『神様が用意してくれた場所』矢崎存美GA文庫

子供のころから霊感のようなものを持つ主人公はそれゆえに疎外されてきた。その生活を脱却すべく地方から都市へ移り住む。アルバイトは探偵事務所の雑用。本人は探偵業には興味はなかったが、不可思議な依頼を前に自分の霊感のようなものへの気持も変わって行く。

 いわゆるちょっとした怪異談。恐怖というより懐かしいような親しみを持てる異世界への郷愁。

はっきり言って「あの世」の話である。まさか水棲人が出てくるとは。国枝史郎では諏訪湖の湖底だったな、確か。

読後はさわやかでよい。孤独を強いられる現代であの世への懐かしさが救いになるかはわからないけど。

 

『夕焼け灯台の秘密』志茂文彦著KAエスマ文庫

これ、『つぶやき岩の秘密』だよな、と思ったらやはりそうでしたね。あの作品ほどの社会との関わりはない。背景にはオーバーテクノロジーの邪悪な世界が見えるが、そこを中心問題にしていない。

特殊能力を子供が持つとどうなるかは過去の名作たちが描ききっている。当たり前だけど普通の精神状態ではいられない。が、そこもかわしている。

ここで特殊能力は小さな幸せに資するもの、という方向が示されている。そう、この特殊能力は子供の持つ可能性と読み替えてよいのではないかと思う。なので読後感はよい。アニメにしてもおもしろい作品だろう。

 

『スピリチュアル働かざるモノ喰うべからず』平谷美樹MF文庫J

密教陰陽パワー戦闘もの。こういうの結構好きである。グロテスクになりすぎないようにするのが作者の腕の見せどころだろう。読後感はよい。

作品を思い出して思ったのだけど、ここで能力は「世襲」である。現代の何も引き継ぐモノがない子供達にとって一子相伝とか家業とかはもはやロマンの世界なんだろうな。

でもねえ、世襲って平均余命がものすごく短かったころの生き方なんだよな。だって30代で死ぬなんて不思議でもなかった。50才もね、今でこそ若いとか言っているけど、立派に白髪の老人だよ。一代ではなにも成し遂げられそうにない時代には引き継ぐという事はとても大切なことだった。人生の中心だった。

ちょっと前の日本人の倍の時間を生きるようになったらしい現代で、この引き継ぐという事はどういう実装が可能なんだろう?定年で濡れ落ち葉も年寄りなのにいつまでも現役じゃあという気持の悪いのも僕は御免こうむりたい。

若い人の応援?それもじじいばばあが少なかった頃の話だ。いまやジジババの方が若い人の何倍もいるから、若い人にそういうのが一斉に応援なんてうるさくて仕方ないのじゃない?

ま、ジジババはさっさと道を譲るに限るよな。

 

『知らない映画のサントラを聴く』竹宮ゆゆこ新潮文庫NEX

なにやら緊張感ある記述から始まるので、すわ文学へ挑戦か、と思ったらあとはいつもの洪水のような饒舌。嫌じゃないんだけど、『ゴールデンタイム』で投げっ放しジャーマンスープレックスホールドをくらった後なので、あっちの最後とこっちの締め切りが重なったのではないのか?と思ったのは確か。僕としてはあっちをちゃんと書き直して欲しいなあ。

暴力的な出会いは「とらドラ!」。。。。自殺した美女はもしかして香子さん?男を使用不可能にするって反則技じゃないのかな。。。とか、なりゆきを流されるままに読んでいるってのがまさに主人公と重なるのかも知れない。

まあ、家族が不可能になるってのは「とらドラ!」で大きな壁になっていた。あっさり娘を追い出す記述にはかなりの無理を感じたけど、そういう手続きがどうしても必要なんだろうな。自分が家族を作るっていう次のためには。

でもなあ、最後突如出てきた「踊り」にはちょっと落胆。確かに最初の方で設定として出てきたけど、途中、つまり話の中心ではまったく関係ないものだった。機械じかけの神。

死んだ親友を内在させて自己肯定というのはどうなのかな。他者はあくまで他者で、死んだ人間を誰も代弁できない。他人は決して引き継げない。

でもまあ、男も内在させているわけだし、これ、あんまりよい関係にはならないよな。

 

ガンパレードマーチ2K未来へ 第一巻』榊涼介

 

実はまだゲームを一度もクリアもしていないのであった。僕はとっても遅れてきたゲーム愛好者なのであるが、いかんせん時間がない。ゲームはじっくりと2時間はやっていたいものだ。ちゃんと時間作るからな。と、もともとゲームにはやたらと時間をかける。だって終わっちゃうと悲しいのだ。

僕にとってガンパレは榊さんの描いた世界だ。ゲームは熊本決戦までだが、その後を実に綿密にダイナミックに描いてきた。僕にとってガンパレの世界は小説の中にある。

いよいよその小説にも終りが来るという。どんな決着が、とわくわくして読み始めた。

政府に厭われた小隊は善行とも分離される。そのミッションとは。。。。熊本決戦で無為に死んでいった学兵たちの遺体回収である。

ガンパレには戦争への怒り、若者が殺し殺される中に追い込まれて行くことへの怒りがある。

この遺体回収というミッションは榊さんのガンパレ世界への誠意が書かせていると思う。これがライトノベルで描かれているという事は大きい。

どういう展開になるのか想像もつかない。が、とても期待している。