海辺の風景

海野さだゆきブログ

承前

レースは2レースめがまもなく始まる。最初、係員がコースを点検など準備、実にきっちりした動きで、「公正」を感じる。出走選手が姿を現し、アナウンスが出走表通りと伝える。しばしして、投票締切りの知らせが何度か流れる。お客さんは投票に行く。これがなんと自動販売機なのであるのはちょっと驚いた。マークシート方式の投票だから当たり前なのだが、こういうあたりも初めてだと実は新鮮だ。

 

投票は実に静かに終わる。みなさん、黙々と、粛々とやるのだ。電車の出発メロディみたいなのが流れるのが最後のしるし。さて、発走機が用意され、選手が入場してくる。自転車を固定し、礼。そう、この礼があるのが日本のプロスポーツだと感じる瞬間だ。

 

スタート。特別観覧席だと発射音は聞こえない。ぐん、と選手が動き出すダイナミックさは、やはり観ると聞くとでは大違い。なんでもそうだけど、ひとがやるものはライブにしか真実はないのだ。

 

まったくぶれを感じないビシッと直進する選手達はすごい。これでも自転車が趣味なので、ああいうふうに漕げるというのがいかにすごいかわかる。横にぴったりつけられても微動だにしない。すごい、やっぱりすごい。

 

まったくラインという、一種の協力関係を知らないでも十分に楽しめる。僕はアメリカのレース最高峰インディーカーのファンでもある。オーバルコースを走る時のインディカーレースそのものだ。同じチームから複数出走する場合は協力しつつ競うという面白い展開がある。ま、無線でチームの方針が伝えられるので、100%ドライバの意志でレースは動かないが、似ている。

 

ラインは観ればわかる。もちろん事前に情報があれば、なお正確に把握できるだろうが、レースは生き物、そのとおりには展開しない場合もある。

 

この一種の協力関係、そして位置取りの駆け引きは観ていると面白い。賭けるのならば違うだろうが、レースとしてだけ観る分には事前情報はいらない。そのくらい明確な意志を感じるのだ。

 

ジャンが鳴っていよいよ佳境。ここからの展開は本当に息を飲むくらいスリリングだ。なにより圧倒的な迫力がある。ゴールは轟音が聞こえるようだ。

 

これは観にきてよかった。もっと早く観にくるべきだった。そう思った。自転車が好きならば絶対に観てほしい。そう思った。

 

レースとレースの間は30分くらい開く。レースが確定する時間、次の投票のための時間、などが必要だからだ。この静かな時間に皆さんは色々と知恵を絞るのだ。が、こっちはそういう事がない。今日は3日め、つまり決勝の日なので、前日のレースがモニタでプレイバックされたりするけど、いかんせん、モニタが小さいので見づらい。大画面で観ることができる場所もあるけど。。

 

これがインディカーだと、選手の紹介とか、過去の名レースのプレイバックだの、が期待できる。投票に頭を使っているので五月蝿いのは迷惑だろうが、ヘッドフォンで聞けるようにしておけばよいのでは。。。あ、ここWiFi使えるんだよな、と気がつく。

 

もったいない。十分な速度が出ている。これを利用して選手紹介のビデオとか楽しめるようにできないのかなあ。。。。。

 

あ!!!落車だ。競技場がどよめく。2選手。初めて観る落車。やはりすごいスピードでやっているのでダメージの大きさも半端ではないのが分かる。選手はプロテクタをしているが、大怪我の危険がある。プロテクタもよくみると背骨をカバーしている、オートバイで最近みかけるようになったタイプのようなもの、を装着しているひともいる。今のものがどういうものかは知らないが、インディカーで採用されているように、脊椎をカバーするヘルメットまで届くようなものがよいのではないかと思う。

 

が、いかんせん、足はカバーできない。足に大怪我をしたら引退もあるだろう。。。。。レースは斜行失格が出た。密集して走るので少しのブレが大きな事故になるのだ。これも観ると聞くとでは大違い。担架で運ばれた2選手のぼろぼろの姿が痛々しい。

 

ガールズケイリンの順番が回ってきた。これも今回行く気になった理由だ。女子のプロスポーツとして発展して欲しい、そう思っていた。案外レースの数が少ない。当たり前だ。まだできたてで選手の数が少ないのだ。近所の西武園競輪でやってくれたのは幸だ。

 

ガールズケイリンはルールが異なる。出走は2つ少ない7。いわゆる国際ルールで行われ、車体は現代的なモノコック。そしてこれが大きな違いなのだが、ラインは組めないという。それでは予想の面白さとか少なくなるのでは、という意見があるそうだ。が、高速レースは風との戦いでもある。ラインも風圧をどうするかで自然発生したに違いないのだ。ガールズケイリンはそういう自然発生が観られる、と思えばよいのでは、とは思った。

 

現代的なマシンが疾走するのは新鮮である。ディスクホイールも色分けされ、実に見栄えがする。ラインらしきものは、やはり自然とできる。そりゃそうだ。マークしあうのだから。スピード感に見劣りはない。ゴール勝負もだ。やるじゃないか。これ、もっとアピールして欲しい。

 

ガールズケイリンが実験的な試みならば、車載カメラくらいやってもよいと思う。今は超小型でもハイビジョンが撮れるし、トランスミッターも超小型である。選手目線からレースをみる迫力はすごいものがある。インディカーで見慣れている僕は即座にそう思った。

 

カメラも、陸上競技のように、横から追いかけるやつを設置したらどうだろうか。自動追尾のやつ。最終コーナーからゴールまで。これも見応えがあると思う。迫力を伝える方法を増やせば、この素晴らしい自転車競技の魅力をもっと伝えられると思うのだ。

 

惜しい。これは伝え方の問題だけではないだろうけど、まずやれることではないかと思った。僕の結論とつながるのだけど、ショーアップは必要だ。必須だ。そんなにお金はかからないはずだ。

 

長くなったので続きはまた。