読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

海辺の風景

海野さだゆきブログ

『バスケの女神様』内々けやき 著 全3巻

覚悟を決めた告白も無惨に砕け散り、傷心のまま移住した先、島根で主人公は颯爽たるお隣りさんのバスケ少女と知り合いとなる。主人公の素質を感じたお隣りさんは彼女をバスケットボールへいざなう。

 

この作品も作者も知りませんでした。電子書籍販売の「お勧め」をさすらうのが結構好きでして、この作品もそうした中偶然に発見しました。これ、結構傑作ではないでしょうか。

 

スポーツまんがではもちろんその肉体の動きが一番の見せ場ですし、重要なのだと思います。その点、この作者の絵は素晴らしいのです。独特のデフォルメのセンスがあるのですが、それがよいです。もしかしたら「レンズ」の使い分けを知っているのではないでしょうか。アニメーションの技法を、つまり映画の技法をよくご存じなような気がします。作中カメラ小僧が時々出てきますから、確実でしょう。。。

 

特にバスケットは、ゴーストップ、ターン、ジャンプと瞬間的な動きが多い競技だと思います。まあ、もちろん全部読んだわけではないですけど、多くのまんがは「迫力」を出そうとしてどこかしら妙な「軽さ」を感じるのです。

 

しかし、この作者は広角、はては魚眼、望遠、などなど、これでもかと駆使して、画面に「重さ」があるんです。人間が走ってるぜーっと。体重を感じる動きですね。たとえば第1巻P168、主人公が突然のパスを受け損ねてボールで顔面を強打してしまう場面。ボールが衝突の前の2コマで重さを「加速」するんです。うわあ、いっ痛いーーーーって感じました。

 

あ、ストーリーやキャラクタも素敵です。まあ、女子がじゃんじゃん出てきますから、例の「かわい子ちゃん5人以上出しとけ」みたいですけど、どの女の子も勝負にかけてますから、結構怖い表情みせますので、単純に萌えとはなりません。

 

スポーツまんがの傑作ですよ、ぜひ読んで頂きたいです。

 

新作の『グレートヤンキーみちるくん』も素敵です。ばりばり活躍して欲しいマンガ家さんです。はい。

『歌うヘッドフォン娘』ねじま 著

近所でうわさのヘッドフォン娘。通学時ヘッドフォンで音楽を聴きながら歩いていると無意識に歌っているらしいが、その歌声に聞き入りファンになってしまっている人が多数いるらしい。知らぬは本人ばかりなり。その彼女の歌と恋をめぐるコメディ。

 

絵は上手ですし、キャラクタも立っているし、大いに笑えるし、で僕は好きですねえ、この作品。なかでもヒロインの顔の「壊れ方」がツボです。とってもかわいらしい女の子ですが、この顔「壊れ方」がそれをより強くしているのです。かわいい壊れ方ってあるんですね。

 

ドラマー、三原重夫師匠によれば、カラオケで歌い慣れている人はリズムが重くなり勝ちとか。でも、この娘はかなり軽快に歌っている様子です。どうしてでしょうか。おそらくは彼女が剣道をずっとやってきているというのが理由でしょうか。機を先するその在り方が、リズムの頭をしっかりリードできるのでしょう。

 

そういえば、ジェームスブラウンのステージアクションを見た空手家がその動きを称賛したとか。武術は舞いに通じるとか。そういうことはあると思います。

 

とっても楽しい話なのですけど、これ1巻でおしまいなのでしょうか?残念!この作者の作品、もっと読みたいですねえ。

 

『弁天ロックゆう』渡会けいじ 著

音楽

何事にも自信が持てず引っ込み思案の主人公。その彼女には音が「見える」共感覚があった。偶然遭遇した弁天様から亡くなった少女の書きかけの曲を完成させることを依頼される。数々の出会い、できごとによって少しずつ彼女は変って行く。

 

バンドもの、音楽というよりも、青春群像劇ですね。主人公のあんまりの小心ぶりは「ねーよ」の範囲だとは思うのですけど、ひとりではできない、周囲の力があってはじめて成り立つモノがあるのです、という話の核心には彼女のそうした性質が話としては必要だったのかもしれませんね。

 

作曲にあたってどれだけイメージをはっきりさせられるかが鍵というあたりは本当にそうなんですけど、残念なのは彼女たちバンドがどんな音を奏でたのか、ちょっと想像できなかったのです。

 

絵がとっても優しいので、優しい感じの曲調なのかなあ、とか。それって、無難な和音五度進行で、あまりメロディが音程飛ばないって感じで、リズムもモデラート?うーん。。。。それだと生活圏は感じるけど、「世界」は無理かなあ。。。。どうなんでしょう。音楽はやっぱり音楽用語を使わないで表現するのは難しいと思います。

 

とても丁寧に描かれた作品なので、こころ落ち着いてじっくりと読むことができました。

 

『30センチスター』北野詠一 著

音楽

主人公男子、同級生がロックスター、カナであることを知る。そして、彼女との関わりの中で才能を開花させて行く。しかし、それはまだまだ「可能性」の段階の才能。いくつかの出会いを経てひとつ、ひとつ階段を昇って行く。

 

小説の音楽もので納得できる作品に出会えたので、バンドものってどうよ、って思いました。ネットにとっても適切なサイトがありましたので、そこの記事を参考に電子書籍サイトで「立ち読み」をして作品を選びました。

 

やっぱ天才しかいないのかなあ。。。。

 

主人公はライブでものを投げつけられるほど、まだまだ、なんですけど、「天才は天才を知る」で、彼を囲む仲間や関係者は彼の演奏や歌に衝撃を受けるんです。

 

なるほど。「可能性」ってそういう表現で説得力持たせられるのですね。感心します。

 

で、実際アマチュアだけど、バンド組んできた身として、とても共感できたのはメンバー集めの段階でのドラマです。

 

そうだよねえ、メンバーの何かに触発されて、おーし!!!やるぜ!!!って感じになりますよね、というかそれがバンドの醍醐味ですよね。

 

そして、メンバーへの思い。。。。。。。。。

 

10年続けるぜ、とバンドの立ち上げからがんばって、7年目に「クビ」になってしまった僕としては。。。。。とほほほ。。。

 

音楽というより、バンドってどういうものって、ところで、この作品はとても心打たれました。お勧めです。

ガールズロックバンド革命

音楽

まずはこの演奏を観てください。

 

www.youtube.com

僕はベース弾きですが、こういう演奏に出会うと心底ドラマーさんが羨ましいと思うのです。この躍動感、爽快感はドラムスの魅力です。

 

この演奏、生で観たいと思いましてちょっと調べました。

 

彼女は大阪の「ガールズロックバンド革命」というバンドのドラマー、CDのクレジットによれば「じゅうたん」さんです。バンド名がキャッチコピーみたいですけど、すごい意気込みですね。

 

早速CDを入手しました。ミニアルバムというべきなのでしょうか。アルバムタイトルは「Life is moment」。おお、実存主義ですか。。。。

 

全曲勢いがありあまっている感じで、よいです。僕は日本のバンドですと、Zweiイースタンユースナンバーガールくるり、などが好きです。あ、ごめんなさい、一番のお気に入りは

www.youtube.comです。隊長、ずっとライブご無沙汰してました。。。。

 

愚痴ですけど、同年代、つまり60才近く、の僕の周囲の人は若い人の音楽全然聴いていないのです。なので全然話が合わない。。。。といいますか、そもそも音楽から離れちゃっていたりします。

 

もっと、若い演奏家を応援しましょうよ。僕は

未来からくる演奏家を聴く会 ホームページ

この会の会員です。クラッシクも若い演奏家はとても苦労しています。。。素晴らしい演奏家が多いのに。。。。

 

愚痴はこのへんで。。。

 

大阪かあ、、、、Fridgeさんのライブか、阪神タイガースの試合を観に行くときにうまい具合いにライブやってくれているといいんですけど。。。。。

FRIDGE

いや、ケチケチするな、都合つけて行くしかないでしょう。地下とか、暗がりとか、大音量とか、タバコとか苦手だけど。。。バンドって、ナマモノですから、、、うかうかしていると存在しなくなってしまったりしますから、、、

 

いくぜ、大阪!

『こうして魔女は生きることにした』文野はじめ著 蜂八憲 イラスト

ライトノベル

主人公女子は中学生にして文学賞を受賞した天才少年の挑発に乗って、「恋愛ものの取材対象」のような契約を交す。高慢ちきな少年作家に反発を感じていた彼女も作品を読むことで創作の魔法にかかってゆく。。。。

 

で、良いのかなあ。。。。。ねーよ帝国主義女子部ってことなのでしょうか。巨乳至上主義の男子部との共通点は「天才」ってことでしょうか。なにしろ中学生でプロの作家です。

 

面白いといいますか、女性作家らしい設定だなあ、と思ったのが、地域から次々と出てくる作家が「魔女」を名乗り続けている、という部分です。「魂の世襲」って好きですよね、女子の皆様。

 

魂が受け継がれてゆく、というのは、「女性が女性を産むという永遠の円環」を実体として持っている女性にしか分からない世界です。はい。乱暴に言えば「おめーら男はDNA管理しているわけじゃないわよー」。はい、男はそういう生命の輪廻の傍観者でしかありません。

 

しかしまあ、この高慢ちき男子。好きですねえ、女性作家。壁ドンならぬ「魂ドン」をやらかしますね、この手の男性は。まあ男は基本エバリですから、表面上は正解です。大抵の男は実力がともわないので、ただのエバリに終りますが、この少年作家は評論家も絶賛、売り上げも素晴らしい、作風も変化自在ですから、誰もなーんにも言えません。

 

でも、作者はこういう「ねーよ男子」を描くことをやりたいわけではないです。寝るのも忘れて読んでしまう力がある作品がこの世の中にはある、全身全霊喜びを感じる作品がある、そういうことが本当にあるのですよ、と。

 

それは本当ですね。本当です。その魔法を感じてしまった人は、それを探す旅に出てしまう、そして、その魔法に近づきたいから「書く」「作る」方に回ってしまうのですね。

 

まあ、この天才少年作家がどんな作品を書いているのかは、もちろんわからないのですけど、「読むことの感動」が人の形をしている、神様みたいな、トリックスターですねすでに、ものだですから、そこは気になりませんよね。

 

なかなかに仕掛けてある伏線のみごとな回収ですとか、読みごたえありましたよ。「そーきたかよー」って。そういう読むことの喜びを作者は良く知っているのですね。はい。面白かったです。

 

『彼女の感触』前田峻也 著

まんがを成り立たせているモノってなんだろうって、思いました。

 

このまんがのお話は途中から「難しい」ことになっています。主人公(男子)が好きになった転校してきた女の子、生徒手帳をみたら性別が「男」になっていました。まさか。。。。

 

いわゆる「男の娘もの」や「男女入れ替わり」などの『とりかへばや物語』の昔からある変則?ラブストーリー、になるはずだったのですけど、作者も認ているいるとおり、そのことを軸にした話は途中で中断し、後半は熱血猪突猛進ラブストーリーになっています。

 

いや、学校では無理でしょう、その設定。。。。。などなど。。。。。というより、僕が感じたのは、作者は描いているうちに、自分が描きたいものに、その熱に逆らえなくなった、正直になったのではないかしら、と思ったのです。

 

だって、最初からなんか「圧力」高かったですよ、そのパワー感に好感をもったので、話がどうだとか、デッサンが狂っているとか、どうでもよいって読み進んだのです。

 

あとがきで作者は「テーマを消したこと」を「後悔していません」と、潔く告白しています。どうなんでしょうか。長期間続いたまんがって、最初の設定を守り続けられた例って少ないのではないでしょうか。ギャグまんがだったはずがシリアスものになっていったとか、わき役みたいな存在がいつのまにか主人公みたいになっていた、とか。。。。いくらでもありますよね。

 

これって、例の「キャラクターが勝手に動いてゆく」ってやつですよね。それって、物語を作る人にとって幸せなことなのではないのかなあ、って思いますけど、どうなんです?実際。

 

前田さんは、エネルギーあふれるキャラクターを産み出した時点でもう成功したのでは?そのキャラクターが束縛を嫌っていることに気が付いて、解き放った、その姿勢はものを作る人としては誠実ナノじゃないかな、って。。。。

 

序破急。。。。

 

その面白さを作者として味わったのではないでしょうか。

 

これだけエネルギーのあるキャラクタを産み出せるのですから、今度はそのエネルギーを存分に解き放つことができる舞台設定、世界を用意すればよいのではないでしょうか。

 

プロとして「次」があるのかは知りませんけど、僕はこのまんが好きですし、「次」があれば読みますよ。